唐様で売り家と書けばいいのでしょうか?毎日新聞
風流にふけりすぎて御店を傾けた3代目が豪華な座敷で考えています。
どうやって金を手に入れればいいのだろうか?
思案投げ首、ふと天井を見上げて気がつきます。
何だ、簡単じゃないか。この屋敷を売ればいいだけじゃないか。
そして、硯を引き寄せ、さらさらと唐様でこうしたためます。
売り家
まあ、ここまではよくある話です。でも、これはどうでしょうか?
これを見ていたおじさんがこういいます。
これは有力な手段だ。
皆さん、このおじさんをどう思いますか?常識的に考えれば、3代目に勧めるべきは、商売に身を入れ稼ぐことです。親から受け継いだ財産を売り続ければ、そのうち無一文です。
3代目も変でしょうが、このおじさんはもっと変です。
毎日新聞の2005年12月5日の社説は、こうです。
「29日の経済財政諮問会議では・・・今後10年間で政府の資産規模を国内総生産比で半減させることが盛り込まれた。」「国有財産もむやみに売却できないだろうが、財政再建を進める上では、有力な手段である。」「国の資産・負債の観点から借金を見直していいくという根源的な手法は地味だが、継続していけば効果が期待できる。」
政府の財産の売却や国債の発行ではなく、実収入を増やし、支出を賄えるようにするのが「根源的な手法」でしょう。国有財産の売却を「継続していけば」、そのうち売れるものがなくなってしまいます。その時、国民はどうすればいいのでしょう?毎日新聞は、それでいいのですか?
(実収入とは、資産の減少や負債の増加を伴わない収入です。詳しくは「実収入」をお読み下さい。)
私は、新聞には、政府の決定を疑わずに、賞賛することではなく、政府の決定に多角的な検討を加えることを期待しています。
こんな検討を毎日新聞には期待していました。
果たして「今後10年間で政府の資産規模を国内総生産比で半減」させても国民生活に支障はないのか?
売ってしまっていい財産はそんなにあるのか?
半減させてどれだけの収入が得られるのか?
10年間で売ると、投げ売りになってしまわないのか?
優先して売るべき財産は具体的には何なのか、売ってはならない財産は具体的には何なのか?
売ることを自己目的にしてしまっていいのか?
残念です。
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