小さな親切、大きなお世話、かな?

ラスカルさんたちが楽しそうに遊んでいる(http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20081230/1230649946#seemore)ので、ちょっかいを少し。 6 不平等を縮小する政策 (中略) 6.2 課税による再分配(再分配課税) 課税による再分配(再分配課税)は、所得不平等を縮小する上で魅力的な政策である。前節で議論したように、賃金構造を直接「圧縮」する政策は、低賃金労働者の雇用を減じるなど、いくらかの逆効果(副作用)をもたらすことになる。課税による再分配(再分配課税)では、そのようなコストをけることができる。それだけではなく(その反面)、課税システムがより再分配的であると仮定するならば、全体的な課税負担を増加させることなく、低賃金労働者の働くことの(による)限界収益を増加させることさえ(が)できるかもしれない。  にもかかわらず、多くのエコノミストは、就労インセンティブを低下させる効果があるであろうことから、再分配政策には慎重である。その推測は、高い税率は、さらに努力しようとする意欲に水を注したり(高い努力水準に向かうインセンティブや)労働時間を減らすだろう(減じる)というものである。課税による再分配(再分配課税)により、高い税が特に高所得の個人に課されるし、(降り落ち、)そのために、再分配政策が起業(事業の創造)を減じるという可能性さえ(を)、何人かのコメンテイターが指摘してきた(いる)。  しかしながら、課税による再分配(再分配課税)の効果についての経済理論による予測は、不確か(あいまい)である。他の条件が同一であるとき、高い税率は、労働時間と努力水準を減じる。これは、経済学における、一般的な代替効果である。しかし、(さらに、)それに反対に作用する所得効果(が)ある。高い税率は、個々人の可処分所得を減じ、そして彼らに対し、すべての正常財(正の所得弾力性を持つすべての財)について、より少ない量の消費を強制する。このことは、余暇は正常財であるため、高い税率によって形成される所得効果(は、)長い(大きな)労働時間と一層の努力(努力水準)を促すことを意味する(と推測される)。よって、高所得者の就労インセンティブについて課税による再分配(再分配課税)が引き起こすであろう結果は、実証的な題材となる。とても高い限界税率、例えば、70%または80%を超えるような限界税率は、明らかに深刻なディスインセンティブ効果をもたらすだろう。[しかし、]適度に高い限界税率が高所得者に引き起こすであろう結果は、明らかではない。  税率の上昇が所得にどのような変化をもたらすかを推計したアメリカの文献は数多い。大きな効果を推計したものもあるが、大多数は、小さな反応を推計したものである。これらの文献の大部分は、Pencavel(1986)によってサーベイされている。彼は、税率の変化に対する労働時間の弾力性はゼロに近いと結論づけている。もっと最近では、1980年代における高所得者の課税前所得において、高所得階層に対する税率の削減による大きな効果を、何人かの研究者が推計している(Feldstein(1995)など)。しかしながら、これらの税率の削減は、すでに所得不平等が広がりつつあった期間において実施されたものであり、また、これらの推計では、中/高所得者間の所得のギャップを広げる他の要因をコントロールしていない。さらに、税率の削減は、課税対象となる所得を申告(報告)するインセンティブを変化させ、特に、労働所得を資本所得(または、企業所得)にシフトさせるインセンティブを変化させる。よって、高所得の個人について計測された所得は、これらの変化(を)反映するだろう(ことになる)。 ◆  よって、アメリカの文脈においては、適度な課税による再分配(再分配課税)は、大きくインセンティブを低下させるような効果は持っていなかった(たない)ようであり、根(本)にある賃金不平等がとても大きいときには、課税前所得の不平等を減じる上で有効な方法でありえると、私は結論付ける。  課税による再分配(再分配課税)によるそのほかの副作用は、Heckman, Lochner and Taber(1998)によって指摘されている。彼らは、課税による再分配(再分配課税)は、学校教育による正味の収益を減じることによって、人的資本投資を妨げることになるかもしれない(であろうこ)とを論じた。平均的な人的資本投資が低いほど、スキルプレミアムと不平等を増加させるかもしれない。この論拠は理論的に正しいものだとしても、パート3とパート5の議論は、その実証的な重要性は限られていることを示唆する。第一に、スキル価格に対する平均的な人的資本投資における変化の影響は、小さなものでありそうだということ。第二に、個々人が、彼らの人的資本投資に関する決定において、学校教育による正味の収益に対し強く反応するような証拠は、ほとんどないことである。それゆえ、私は、適度な課税による再分配(再分配課税)は、課税前所得の不平等を減じる上で有効な方法であると結論付けるのである。  それにもかかわらず、アメリカの証拠をニュージーランドに適用することは困難である。ニュージーランド経済には、いくつかの他と区別される特徴があり、それらは、課税による再分配(再分配課税)が経済活動にどのように影響するかということに、重要な関係がある。第一に、ニュージーランドにおける高所得の個人は、比較的簡単に(相対的な軽減があることによって、)オーストラリアに移住してしまうかもしれない(だろう)。それとは対照的に、アメリカから他の国へのそのような移住の機会は、限られている。高所得の個人の移住の可能性は、課税による再分配(再分配課税)が意図したのとは逆の結果(副作用)をもたらす危険を高める。第二に、ニュージーランドとアメリカでは、税の構造に重要な違いがある。特に、ニュージーランドでは、税はすでにより累進的であり、また、間接税の構造が異なっている。よって、課税による再分配(再分配課税)を強化(拡大)する前に、労働供給の税に対する(に対する税の)弾力性や、高所得者の移住率について、注意深い評価を行う必要がある。 ◆ 人気blogランキングでは「社会科学」の24位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング