2008年12月の貿易統計が公表されました。「
原油価格前年同月比2割値下がり。原油を買おう。」で示したとおり、10月は対前年同月比21%の値上がりでしたが、11月1には22%の値下がり、そして12月は49%の値下がりです。2007年12月は47%の値上がりでしたから、行ったり来たりしながら、ほぼ2006年12月の水準に戻ったことになります。
「原油及び粗油」の輸入価格(1リットルあたり円)」月 | 価格(円) | 上昇率(%) |
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1月 | 45.3 | 10.0 |
2月 | 41.9 | -6.7 |
3月 | 42.5 | -5.8 |
4月 | 45.2 | -0.2 |
5月 | 49.4 | 3.9 |
6月 | 51.6 | 7.4 |
7月 | 53.7 | 8.8 |
8月 | 54.1 | 3.3 |
9月 | 51.5 | -2.8 |
10月 | 55.5 | 16.1 |
11月 | 58.1 | 30.6 |
12月 | 62.9 | 46.5 |
1月 | 63.3 | 39.6 |
2月 | 62.4 | 49.0 |
3月 | 62.7 | 47.5 |
4月 | 63.9 | 41.3 |
5月 | 70.5 | 42.8 |
6月 | 80.6 | 56.1 |
7月 | 88.6 | 65.1 |
8月 | 92.0 | 70.1 |
9月 | 82.2 | 59.8 |
10月 | 67.0 | 20.7 |
11月 | 45.4 | △21.9 |
12月 | 32.4 | △48.5 |
仮に12月の単価で2008年の輸入量と仮定すると、輸入額は7.8兆程度です。2008年は16.3兆円支払っています。1年で節約できる額は8.4兆円程度でしょう。
原油だけで交易利得がこれだけ入ってきます。有力な継起した支え要因です。唯一の要因にならないことを希望します。
前回の繰り返しですが、あえて書きます。
この際、原油を大量に輸入して備蓄すべきです。
今の価格、レートで考えると、半年分の備蓄に必要な額は3兆9千億円、433億ドル(1ドル=90円で計算しました。)です。どこに備蓄するかといった技術的な条件も考えなければなりませんが、
建設国債を発行して調達できない額ではありません。売り手も多数いますから購入は不可能ではありません。
効果は三つあります。
1
産油国の所得と生産、そして雇用を拡大させることができます。これは縮小してしまった世界の生産、所得、雇用の拡大そのものであり、日本にとっても外需の拡大につながります。在庫が減るだけにしても、
産油国の手持ち現金は増えます。中東産油は欧州の銀行から借り入れて国造りの投資をしていたようです。欧州からの融資のストップ、
原油値下がりで手元の現金が不足しているためにストップしている投資が動き出します。投資が動き出せば、凍りつきかねない世界経済の再起動に大いに役立ちます。日本にとってもアメリカにとってもヨーロッパ諸国にとってもいいことです。
2 ドルでの支払いが増えることにより、急激な
円高・ドル安を緩和することができます。これは日本の生産、所得、雇用の下支えになります。必要なら1年分でも、2年分でも購入すればよいのです。為替市場での介入より効果的です。
内需転換など、即時にできることではありません。
円高による輸出の急激な減少は、少しでも抑えるべきです。
3 将来、
原油がまた値上がりしたり、輸入が途絶したときに取り崩すことができます。日本経済のアキレス腱をなくすことはできませんが、守ることはできます。
のどもと過ぎて熱さを忘れてはいけません。
円高、資源安という絶好のチャンスが訪れているのです。幸運の女神の前髪を捕まえましょう。2009年度の本予算成立後、すぐに補正をしてでも手を打つべきです。
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