社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その44

社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その43」で説明したモデルの特長は次の通りです。

1 所得の違いにもかかわらず個人の消費パターンが皆同じであり、したがって総消費のパターンと個人の消費のパターンがパラレルである。

2 割引債の市場で均衡価格が成立しており、すべての個人について割引率が同じである。

3 1,2から総消費のパターンから、割引率を計算することができる。

さて、このような特長があると、総消費の上で代表的個人の効用関数を定義して、これを用いて、割引率を求めることができます。

具体的には、(3.12)、(3.13)しきから、(3.14)式を得ることができ、この式で示される割引率は、前回の多数の主体からなるモデルで得られる割引率と同じです。

テキスト7ページにあるように「(新古典派成長)モデルでは、あたかも1人の代表的な個人が経済活動を行っていると仮定し、この個人が決定する経済変数がマクロ経済変数に対応していると考えられている。」のですが、これがこの単純なモデルでは成立しているということです。

ただ、当然ながらいくつかの違いがあります。

1 代表的個人モデルでは、個人間の取引が全く表面に出てこない。

2 総消費=総所得となるので、貯蓄が行われていないように見える。

3 割引債市場が均衡しているので、割引債の取引が一切行われていないように見える。

さて、次に、一般的なモデルでどのような条件が満たされれば、資産価格の決定を代表的個人モデルで分析できるのかが問題となります。

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