社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その45
「社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その44」から、大分間が空いてしまいましたが。
今回は、再確認です。消費パターンと利子率の関係です。
(3-14)式は、次の代表的個人の主体均衡条件を示す。
債券の割引価格=第1期の総消費÷第2期の総消費
(3-6)式で定義されているように、
債券の割引価格≡1÷(1+実質利子率)
である。
この二つの関係を整理すると、次の均衡条件が導かれる。
債券の割引価格≡1÷(1+実質利子率)=第1期の総消費÷第2期の総消費
これを用いて消費の成長と債券の割引価格、実質利子率を検討してみよう。
まず、第2期の総消費の方が第1期の総消費よりも大きい場合、つまり総消費が成長しているとき、左辺は1より小さくなる。従って債券の割引価格も1以下である。従って、実質利子率は正となる。
逆に、第2期の総消費の方が第1期の総消費よりも小さい場合、つまり総消費が減少しているとき、左辺は1より大きくなる。従って債券の割引価格は1以上である。従って、実質利子率は負となる。
この条件が代表的個人の主体均衡条件から導かれたことからわかるとおり、この背景には、消費を平準化しようとする個人の行動がある。
各期の総消費は外生であるという条件の下で、まず、総消費は第2期の総消費の方が第1期の総消費よりも大きい場合には、代表的個人が第2期の消費を増やすべく、第1期の消費を1単位断念した場合に増加させることのできる第2期の消費は多くなければならない。そうでなければ、第1期に消費する方を代表的個人が選んでしまうからである。
第1期の消費を1単位断念した場合に増加させることのできる第2期の消費が多いということは、実質利子率が高いと言うことであり、割引債券の価格が低いということである。
同じ条件の下で、逆に、総消費は第2期の総消費の方が第1期の総消費よりも小さい場合には、代表的個人が第2期の消費を増やすべく、第1期の消費を1単位断念した場合に増加させることのできる第2期の消費は少なくなければならない。そうでなければ、第2期に消費する方を代表的個人が選んでしまうからである。
第1期の消費を1単位断念した場合に増加させることのできる第2期の消費が少ないということは、実質利子率が低いと言うことであり、割引債券の価格が高いということである。
消費パターンが平準化されていることを好む代表的個人が、それを実現するように行動することによって、実質利子率が、そして債券価格が決まる。言い換えれば代表的個人(消費者)の時間選考が、資産の収益率、資産価格を決めるのである。
そして、1÷(1+実質利子率)=第1期の総消費÷第2期の総消費の逆数をとると、
1+実質利子率=第2期の総消費÷第1期の総消費
となるので、
実質利子率=総消費の増加率
という関係が成立する。
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