人的資本とGDP,NDP

GDP(粗国内総生産)から資本減耗分を差し引いたものがNDP(純国内総生産)であることは、マクロ経済学を学んだ者の常識です。資本の減耗分というのは、一つの概念ではありますが、時間の経過や生産に用いられることによって資本財が劣化し生産能力が下がるという実態を背景に持っています。この考え方に反対する経済学者は昔からいませんでした。 そして「結合生産物としての若手研究者」で取り上げた人的ストック(人的資本)という考え方は、これよりは新しいものですが、すでに(労働)経済学に定着しています。 であるならば、人的ストックの増加、減少を総生産に反映させてもいいはずです。もし、人的資本が蓄積されているならば、NDPプラス人的資本の増加分が本当の生産額、損耗しているならNDPから損耗分を差し引かなければなりません。 リーマンショック以前の日本の景気回復はGDPやNDPで判断されていました。もし、人的資本が維持されていたのなら、この判断は正しいでしょう。しかし、もし人的資本の水準が低下していたのなら、その分だけGDPやNDPの成長を割り引かなければなりません。あの時期、本当に日本の経済は回復していたのでしょうか? 人気blogランキングでは「社会科学」の33位でした。 今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング