社会政策

「最低賃金 2007年その1」について

「最低賃金 2007年その1」で最低賃金と生活保護のバランスについて少し書きました。 その後、最低賃金の決定に当たって、生活保護とのバランスを考慮するという最低賃金法改正法案が国会に出されたのですが、成立せず、継続審議になりました。 これについて…

長期雇用と職務給

東京電力常務の山崎雅男さんという方が、労働市場の流動化と職務給に関連する面白い発言をされています。(座談会「消費者であること財・サービスの提供者であることの二面性を考える」での発言。日本労働研究雑誌 2007年4月号) 「例えば日本人はレジの…

同一労働同一賃金

「労務屋@保守親父さん」が、こんなことを書かれています。 「市場メカニズムに信頼を寄せる八代氏とすれば、労働移動や価格決定にかかわる規制を撤廃すれば『流動性の高い職種別労働市場』が形成され、同一労働については同一賃金となり、若年層の非正規雇…

2007年福祉宇宙の旅 その1 基礎年金の源流を探る

「「2006年福祉宇宙の旅 その6」について」で、基礎年金の財源を税金とするか、保険料とするかについて書きました。 基礎年金の源流は、国民年金であると言って差し支えないと思います。この国民年金が国会に提案されたときにも当然議論になっています。…

「2006年福祉宇宙の旅 その6」について

「2006年福祉宇宙の旅 その6」に、政治学者の卵さんから、こんなコメントをいただいていました。 「高齢者の無年金で生活保護を受給している世帯の多さを考えると,基礎年金は消費税でもなんでも財源にして自動的にあげたほうが安い気もしますね(という…

最低賃金 2007年その1

民主党の最低賃金法改正案(http://www.dpj.or.jp/news/files/houan.pdf)について、hamachanさんが次のように書かれています(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_c3f9.html)。 「新聞紙上では最低賃金を一律1000円にすると報じら…

2006年福祉宇宙の旅 その6

「2006年福祉宇宙の旅 その4」で書いた所得に関係のない基準による給付によって貧困に対応すると言うのは奇妙な政策であると考えられるかもしれません。 しかし、現在の生活保護の実態を見ると、一見したほど荒唐無稽でもないと思えます。 まず、保護を…

2006年福祉宇宙の旅 その5

「2006年福祉宇宙の旅 その4」までで、エネルギーが切れてきましたので、少し休んで補給をします。 このシリーズはhamachanさんのコメントに答える形で始まっているのですが、hamachanさんのコメントにra-toyoさんが質問をされています(http://inquiry.…

2006年福祉宇宙の旅 その4

「2006年福祉宇宙の旅 その3」で書いたように勤労所得ゼロの世帯を明確に把握できないとしたらどうすればいいのか? 一つの回答が、貧困世帯に限定せずに、所得以外の基準に基づいて定額の給付、つまり所得によっては金額が変わらない給付を行うことで…

2006年福祉宇宙の旅 その3

「2006年福祉宇宙の旅 その2」で説明した、最低生活保障とメイク ワーク ペイを不完全ながら両立させようとした仕組みを作った場合のもう一つの大きな問題は、勤労所得ゼロの世帯の扱いです。 勤労所得ゼロと言う世帯には幾つかの類型があります。 一つ…

2006年福祉宇宙の旅 その2

「2006年福祉宇宙の旅 その1」で説明した「低所得世帯に最低生活費と所得との差額を支給する」という手法には、大きな欠陥がありました。勤労へのインセンティブがない、言い換えればメイク ワーク ペイにならないことです。 この欠陥をある程度是正す…

2006年福祉宇宙の旅 その1

このエントリーのタイトルは、「生活保護と最低賃金 その2」に寄せられたhamachanさんのコメントに由来します。内容も繋がっています。 貧困を減らすための対策には、さまざまなものがありますが、社会福祉、社会扶助として金銭を給付するという範囲で、代…

「生活保護と最低賃金 その1」へのhamachanさんのコメントに対するお返事

「生活保護と最低賃金 その1」にhamachanさんから次ぎのようなコメントをいただきました。 「刑事罰にはそもそも道徳的倫理的に許されない刑事罰と、どっちもあり得るけれども、社会的を円滑に動かすためにはこっちにしておいてそっちをやったら罰を与えま…

障害者と年金

「「高齢期はエッフェル塔で」について」のコメント欄で、お約束したとおり障害者年金について調べてみました。 年金は国民年金の場合、厚生年金の場合、共済年金の場合と分かれているのですが、基本は同じです。一番単純な国民年金で考えてみます。 20歳…

hamachanさん、ノルマンディー上陸作戦決行

といっても、別にhamachanさんが夏休みを利用して、フランスへ行かれたというわけではありません。 「オベリスクとエッフェル塔」(http://takamasa.at.webry.info/200607/article_30.html)で始まったhamachanさんとのやりとり(対英戦)を完了させないまま…

生活保護と最低賃金 その2

今回取り上げるのは、本田先生が「あたりまえのこと」のコメント欄で主張されている、いわゆる「買い叩き」の問題です。 まず、前提として、労働者は、労働サービスを売り急ぐ傾向があるのは確かです。 ひとつには、生きていくためには、毎日、毎日、衣食住…

生活保護と最低賃金 その1

「「あたりまえのこと」でしょうか?」に、本田先生からお返事をいただきました。(「あたりまえのこと」のコメント欄をご覧ください。)また、質問もいただきました。単なる質問というよりも反論というほうが正確かもしれません。 さて、「低生産性の労働者…