2006年福祉宇宙の旅 その6

2006年福祉宇宙の旅 その4」で書いた所得に関係のない基準による給付によって貧困に対応すると言うのは奇妙な政策であると考えられるかもしれません。

しかし、現在の生活保護の実態を見ると、一見したほど荒唐無稽でもないと思えます。

まず、保護を受けた世帯の状況を見ると、平成16年度には100万世帯あります。そのうち世帯主が60歳以上の高齢者世帯が46万世帯、傷病者世帯が25万世帯、障害者世帯が10万世帯、母子世帯が9万世帯です。その他の世帯は9万世帯です。

また、世帯人員を見ると単身者世帯が73万世帯です。定義上、母子世帯は一人世帯ではありえないので、母子世帯以外に限ると、保護世帯のほぼ8割が一人世帯なのです。

なお、この家族構成自体、保護を受けやすくするように調整されている可能性があります。

こうしてみると、高齢者、障害者、母子世帯への一般制度でかなりの部分がカバーできる可能性があります。高齢者(68)の一人世帯の生活扶助月額は、東京都区部等で8万円、地方郡部等で6万円ほどですから、基礎年金が完全に支給されるようになれば(これ自体貧困のせいで無理ということはありえます。)、生活扶助の多くは不要になります。母子世帯(30歳、9歳、3歳)の生活扶助月額は、東京都区部等で16万円、地方郡部等で12万円ほどですから、例えば月額4万円ほどの児童手当制度を創れば、半分以上は減額できます。(http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/seikatuhogo.html

(注)高齢者世帯については、年金制度が成熟していくのと、平均寿命の高まり・年金支給開始年齢の引き上げの綱引きでしょう。今のところ、この勝負、成熟が負けているようです。

さて、メイク ワーク ペイとの関係では、世帯主が働いているのが10万世帯、他の世帯員が働いているのが2万世帯、合計12万世帯です。率にすると10%強です。傷病者、児童、高齢者が多いことを考えるとメイク ワーク ペイの対象者は、保護を受けている人数の半分にも足りないのではないかと思います。

ここで、当分、この話題は休憩にします。

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