「発達障害」は別のもの

発達障害」について、どうも気になるので、少し調べてみました。結果報告です。

まず、発達障害者の対策の基本になっている法律がこれです。

発達障害者支援法

発達障害者専用の法律です。ニート対策とは全く関係のない作りになっています。また、発達障害者支援センターという専用施設を都道府県、大都市に作ることを次のように想定しています。

第十四条 都道府県知事は、次に掲げる業務を、社会福祉法人その他の政令で定める法人であって当該業務を適正かつ確実に行うことができると認めて指定した者(以下「発達障害者支援センター」という。)に行わせ、又は自ら行うことができる。

一 発達障害の早期発見、早期の発達支援等に資するよう、発達障害者及びその家族に対し、専門的に、その相談に応じ、又は助言を行うこと。

二 発達障害者に対し、専門的な発達支援及び就労の支援を行うこと。

三 医療、保健、福祉、教育等に関する業務(次号において「医療等の業務」という。)を行う関係機関及び民間団体並びにこれに従事する者に対し発達障害についての情報提供及び研修を行うこと。

四 発達障害に関して、医療等の業務を行う関係機関及び民間団体との連絡調整を行うこと。

五 前各号に掲げる業務に附帯する業務

このセンターは、実際動き出していて、こんな具合です。

発達障害者支援センター一覧

この一覧表は少し前のものです。もっと新しくできたものがあるかもしれません。

このセンターの指定を受けているのは、これまで障害者か発達障害者の問題に取り組んできた団体のようです。理論的には若者対策もやっているところが指定を受けることがあるかもしれませんが、そのような事実は確認できませんでした。

厚生労働省のHPを少し見てみましたが、組織としても施策としても、少子化対策と障害者対策は明確に区分されています。

これらを見ると、「ニート」あるいは「少子化」に引っかけて予算をとろうとか、「若者」向けの施策を発達障害者にも使おうとか、そういう発想は窺えません。

結局、単純に、本来、発達障害者用の施設やサービスを利用すべき発達障害を持つ若者が、「若者」である方に着目されて、「若者」用の施設へ行っている、それが効果を上げないし、かえって二次障害を発生させかねない、だから、発達障害の方へ行くようにしよう、というだけのことのように思われます。

若者支援をされている方は、これを機会に少し発達障害を認識していただき、支援している若者が、ひょっとしたら発達障害があるのかもしれないと思われたら、発達障害者支援センターと相談されるといいと思います。

なお、法律の条文ではこうなっています。

第八条 国及び地方公共団体は、発達障害児(十八歳以上の発達障害者であって高等学校、中等教育学校、盲学校、聾ろう学校及び養護学校に在学する者を含む。)がその障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるようにするため、適切な教育的支援、支援体制の整備その他必要な措置を講じるものとする。

2 大学及び高等専門学校は、発達障害者の障害の状態に応じ、適切な教育上の配慮をするものとする。

飯田先生(http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20060824)を始め大学の先生方、発達障害になじんでいただくようよろしくお願いします。

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