稼ぎに追いつく貧乏なし

借金して学校を出してくれた親を子供はどう思うだろうか?

8月24日の読売新聞に杉山美邦経済部長が書かれた「財政再建もう待てない」という記事を読んだ感想です。記事はこんな風に始まっています。

「 自民党総裁選の候補に背負って欲しいものがある。

 東京タワー(東京・港区)内の「感動する経済館」にある債務リュックだ。現在、20分間で国と地方の債務は約1億8600万円も増えている。それを1万円札に換算した18.6キロがリュックの重さだ。

 夏休み中の子供たちが背負い、「重い」とよろめいていた。大変なツケを子孫に残してしまった。」

この後少しデータなどの紹介があり、こう続きます。

「民間企業は、債務、設備、人員という三つの過剰を血のにじむような自助努力で削減してきた。今度は政治に、立て直しへの不退転の決意が求められる。」

子孫には借金を残さなければそれでいいというものではありません。

「人員という(三つの)過剰を血のにじむような自助努力で削減」した結果、膨大な失業者と不安定就労層も生み出しました。特に若い層は、就職難で苦しみ、不安定な就労をしたりした人が大勢います。そして十分な職業能力を身につけられなかった、あるいはそういう見通しを失ってしまった人も大勢います。

彼らからすれば、多少返すべき借金が増えても、職業能力を身につけることができた方がよかったのかもしれません。借金を残さないでくれ、と思う若者もいるでしょう。特に、所得の多い人がそう思うのは当然です。しかし、働く場を確保してもらえば借金は私が働いて返すから、そう思う人もいるはずです。

借金をしてでもこどもを学校へ行かせる親か、借金せずに子供を学校へ行かせず、社会の底辺に沈める親か、どちらがいいのでしょう。

国の借金の重みはリュックで示せます。総裁選の候補者がリュックを担いでみるのもいいでしょう。底辺の苦しみを他のもので示す方法はありません。そういうものは目に見えないのです。

そういうものにも、候補者の方々には、見えないものを見る努力をお願いしたいと思います。

人気blogランキングでは「社会科学」の23位でした。今日も↓クリックをお願いします。

人気blogランキング