「派遣労働者は直接雇用のプールだろうか?」について

派遣労働者は直接雇用のプールだろうか?」に濱口先生から丁寧な回答(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_bc79.html)をいただきました。ご主張が理解できました。感謝します。 僭越ながら、他の方にも参考となるだろうと思うので、回答を基に先生の主張を書き換えてみました。 原文 事前面接の解禁を主張するのであれば、その論理的帰結をも受け入れる用意が必要なはずである。現行法制を前提に考えても、現在既に紹介予定派遣においては事前面接が可能となっている。これは円滑な直接雇用を図るためと説明されている。であるならば、紹介予定派遣でなくても事前面接をするのは、その時点で紹介を具体的に予定していなくても、将来的に円滑な直接雇用を図るつもりがあるからであろう。この改正は、労働者派遣全体に対して直接雇用への前段階的性格=一種の試用期間的性格を付与することになる。 書き換えたもの 事前面接の解禁を主張するのであれば、その論理的帰結をも受け入れる用意が必要なはずである。現行法制を前提に考えても、現在既に紹介予定派遣においては事前面接が可能となっている。これは円滑な直接雇用を図るためと説明されている。であるならば、紹介予定派遣でなくても事前面接をするのを法的に認める(解禁する)とすれば、事前面接をする派遣先はその時点で紹介を具体的に予定していなくても、将来的に円滑な直接雇用を図るつもりがあるとの論拠からしかない。なぜなら、現在の日本の法制での労働者派遣というのは、山田花子という固有名詞を持った労働者を固有名詞を持った労働者として、派遣先で就労させることではないのである。一人一人異なる労働サービスのうちの特定の一人の労働サービスを提供することは労働者派遣ではない。労働者派遣に個人の特定を持ち込むためには、具体性がなくとも直接雇用の意図があるとするほかはない。このような改正は、労働者派遣全体に対して直接雇用への前段階的性格=一種の試用期間的性格を付与することになる。 さて、しかし、なお、私の疑問は残ります。 事前面接を解禁すると言うことは、事前面接を義務づけると言うことではありません。現行の派遣法制どおり、事前面接を行わない派遣先もいるでしょう。それこそ取り替え可能な労働者でいいという場合もあるでしょうし、有能な派遣元を十分信頼しているというケースもあるでしょう。 このようなケースがあっても、「改正は、労働者派遣全体に対して直接雇用への前段階的性格=一種の試用期間的性格を付与することになる。」と言えるのでしょうか?法的フィクションの理解が足りないのかもしれませんが。 もっとも、事前面接をしたかどうか(存在)で、使用者であるかどうかの判断が変わるとすると、おそらく、使用者責任から逃れたい事業主は、いまと同じように事前面接の抜け道を探すことになるでしょう。これも困るのですが。 ここをクリック、お願いします。 人気blogランキング 人気blogランキングでは「社会科学」では31位でした。