「派遣労働者 男と女」について

派遣労働者 男と女」について、濱口先生が、誤解がある旨のエントリーを書かれています(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_1fc7.html)。トラックバックになっていないので、ここでご紹介しておきます。

以下、引用です。

常用型派遣と登録型派遣の違いという点に問題意識をおいて、それらの具体的なイメージとして「技術系に多い」とか「事務系に多い」と述べただけであって、別段、技術系だからどうこう、事務系だからどうこうと述べたわけではありません。

事務系でも、「その派遣会社の正社員であるわけですから、その会社の技術水準を信頼して派遣を受け入れているものと考えて、事前面接なしで」ということは十分あり得るわけです。それは、まさに常用型派遣なのです。

ましてや、男と女がどうこうというようなことはなんら考えていません。ですから、

>大きく分類すれば、技術系、生産、労務に多い男性の場合には、派遣先は個人にこだわらず、その派遣会社の選択眼、調達能力を信頼して派遣を受け入れているものと考て、事前面接なしで派遣先に使用者責任なしとし、事務系の多い女性の場合は、派遣の依頼をする際に、人柄とか(気配りのできる人がいい、明るい人がいい)、容姿(容姿ランクは、Aとか、スリーサイズとか)、独身かそうでないかとかの希望をそれとなく伝えて、それに合わせて派遣元が雇い入れるわけですから、その人に着目しているものと考えて、事前面接ありで派遣先にも使用者責任ありとするのが、すっきりする。

というふうに「デフォルメ」されると困ります。

問題は、登録型というのは注文を受けてからそれに応じて労働者を雇い入れるものであり、法的構成を抜きにして社会的実態をいえば職業紹介事業にほかならないという点にあるのです。

これに対して、常用型というのは、社会的実態をいえば、いってみれば営利出向事業とでもいうべきものでしょう。

そういう社会的実態の違いが、労働者派遣法という法的システムにおいてはきちんと反映されておらず、どちらかというと常用型であることを前提として作り上げられた様々な法的構成が、登録型にそのまま適用されてしまっているところに問題の根源があるのではないかと思っているわけです。

以上、引用でした。

引用の最後の3つの段落で、濱口先生が、登録型と常用型に類型化して、異なる仕組みを考えている理由が明確になっています。

事前面接を認めるかどうか、使用者責任を誰が追うかは、職業紹介か出向かという本質の差から自ずから決まってくるというのが、濱口先生のご主張でしょう。

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