社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その20
「社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その19」に続いて資本-価格平面の説明、図2.6の説明です。
「社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その18」を思い出しながら読んで下さい。
まず、Δk=0線を考えてみます。
この曲線は資本が変化しない条件を示すものですから、曲線に含まれるどの点に経済があっても、資本は変化しません。では、この曲線より上の部分に経済があったときには何が起こるでしょうか?
曲線を示す式は、
v(p)=f(k)-δk
でした。
そして
c=v(p)、v’<0
でした。
価格pがこの線よりも上にあるときは、消費C=v(p)は小さく、したがって、
純生産f(k)-δk>C=v(p)となります。生産された財とサービスを資本減耗と消費に当てても、なお、あまりがあり、これが投資されます。つまり純投資が行われ資本は増えていくことになります。
この曲線の下では、逆に価格が安いため消費が増加し、生産物では資本減耗を補うことができなくなりますので、資本は減少していきます。
次に、Δp=0線について検討します。この半直線は資産価格が変化しない条件を示すものですから、半直線に含まれるどの点に経済があっても、資産価格は変化しません。c=V(p)でしたから、c一定の時、p一定です。c一定の条件は、f‘(k)=ρ+δで示されていました。また、このとき(2.31.b)式でct=ct+1ですから、〔1+f’(km)-δ〕/(1+ρ)=1です。cが一定であるためには、資本水準が、修正された黄金律、kmである必要があるのでした。
これよりも資本水準が高いとき、つまり、この半直線より右の部分に経済があったとき、例えばk*(>km)には、f‘がkの減少関数ですから、f‘(k*)<ρ+δです。
(2.31.b)式で
u‘(ct)=〔1+f’(k*)-δ〕/(1+ρ)*u‘(ct+1)
ですが、ここで、
〔1+f’(k*)-δ〕/(1+ρ)<〔1+f’(km)-δ〕/(1+ρ)=1を考慮すると、u‘(ct)<u‘(ct+1)です。
仮定からu’‘<0ですから、
ct>ct+1
となります。このとき、資産価格は上昇しなければなりません。
つまり、この半直線より右の部分に経済があったとき、資産価格pは低下していきます。
同様に、この半直線より左の部分に経済があったとき、資産価格pは上昇していきます。
これを図にしたのが、図2.3です。
次回は、二つの位相図(phase diagram)、図2.5と図2.6を用いて、経済が定常状態に落ち着くかどうかを検討します。
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