原油価格の高騰が日本経済に悪影響を及ぼすことが懸念されています。
確かに、「
原油及び粗油」の輸入は膨大です。18年では量で246,734千キロリットル、額では11兆5,351億円で、日本の輸入額の17.1%を占めています。
この価格の上昇が輸入インフレや交易条件の悪化を通じて所得の流出を招くことは、間違いありません。
しかし、現在の
原油価格の高騰は商品市場で起こっていることであり、かつドル建の価格です。日本の輸入は直接取引などがあり、また、価格として重要なのは円建ての価格です。
そこで、貿易統計から「
原油及び粗油」の輸入量、輸入価額を取り、1リットル当たりの単価を計算してみました。結果は次のようになりました。
「原油及び粗油」の輸入価格(1リットルあたり円)月 | 価格(円) | 上昇率(%) |
---|
1月 | 45.3 | 10.0 |
2月 | 41.9 | -6.7 |
3月 | 42.5 | -5.8 |
4月 | 45.2 | -0.2 |
5月 | 49.4 | 3.9 |
6月 | 51.6 | 7.4 |
7月 | 53.7 | 8.8 |
8月 | 54.1 | 3.3 |
9月 | 51.5 | -2.8 |
これを見る限り、9月では価格は前年同月に比べ2.8%下落しています。値上がりしていたのは6,7月です。7-9月の平均では3%の値上がりです。
もっとも7-9月では輸入量が2.7%減っているので、価額は0.2%の増加、ほぼ横ばいです。
なお、単価についてですが、「
原油及び粗油」といっても軽質油は単価が高い、重質油は安いなど質によって差があります。月によってその構成が変われば平均単価も変化します。この表で示した単価の変化も、油種構成変化の影響を受けている可能性はあります。
「
「2006年の貿易収支黒字8兆円をキープ」について」でご紹介した「
原油及び粗油」の輸入データを更新しておきます。
「原油及び粗油」の輸入(百万円、%)年 | 輸入額 | 増加額 | 増加率 |
---|
2005年 | 8,823,323 | - | - |
2006年 | 11,535,082 | 2,711,705 | 30.7 |
2007年 | | | |
2006年1-9月 | 8,818,489 | - | - |
2007年1-9月 | 8,583,658 | -234,831 | -2.7% |
ついでですが、輸入量は17年1-9月の186,270千キロリットルから、4.7%減って177,839千キロリットルになっています。単価は47.3円から48.3円へ1円、1.9%の上昇です。
現時点では、あまり影響があるとは言えませんし、
円高が進んでいることを考えると、ドル建て価格の上昇も一部はキャンセルされるはずです。あわてる必要はないと思います。
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