派遣労働者 男と女

派遣労働者の職種」では、男女合計で職種分布を説明しました。 しかし、派遣労働の職種には男女で大きな差が存在します。 こんな、分布です。データの出所は、前回同様、厚生労働省の平成15年の就業形態の多様化に関する総合実態調査報告書の第3表です。 男性派遣労働者の職種(%)
職種登録型常用雇用型
専門的・技術的な仕事28.232.8
事務的な仕事19.812.9
生産工程・労務の仕事33.928.6
女性派遣労働者の職種(%)
職種登録型常用雇用型
専門的・技術的な仕事7.54.1
事務的な仕事80.171.5
生産工程・労務の仕事3.69.7
これを見ると、常用雇用型であろうが登録型であろうが、明らかに女性には事務の仕事をしている労働者が多く、男性には、専門的・技術的な仕事、生産工程、労務の仕事をしている人が多いのです。 つまり、職種と強い関連を持つのは、常用雇用型であろうが登録型というタイプではなく、ジェンダーです。言い換えると、常用型派遣=技術系、登録型派遣=事務という図式よりも、男性=技術系、生産、労務、女性=事務という図式のほうが実態に合っています。 濱口先生が、常用型の派遣は派遣先には使用者責任はなくて良いという割り切りをしようとして、その理由を、「平家さんへの再答弁」で実態に関連させて述べられましたが、それを踏まえて、少しデフォルメすると、こうなります。 大きく分類すれば、技術系、生産、労務に多い男性の場合には、派遣先は個人にこだわらず、その派遣会社の選択眼、調達能力を信頼して派遣を受け入れているものと考て、事前面接なしで派遣先に使用者責任なしとし、事務系の多い女性の場合は、派遣の依頼をする際に、人柄とか(気配りのできる人がいい、明るい人がいい)、容姿(容姿ランクは、Aとか、スリーサイズとか)、独身かそうでないかとかの希望をそれとなく伝えて、それに合わせて派遣元が雇い入れるわけですから、その人に着目しているものと考えて、事前面接ありで派遣先にも使用者責任ありとするのが、すっきりする。 男女雇用均等の時代に、男女別の規制を導入できるはずもなく、このような実態に合わせた規制は不可能です。実態と理念の微妙な関係です。 人気blogランキングでは「社会科学」の33位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング