10-12月期の法人企業統計調査の結果が発表されました。
http://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/h26.10-12.pdf
発表を見て意外だったのが、「在庫投資」(この調査では、「
棚卸資産の増加額」と定義されています。)が思ったほど減らなかったことです。前年同期は、消費税引き上げ前の駆け込み需要に備えて、前年同期比1兆4千億円も増加していました。当然今期は大幅に減るはずだと思っていました。しかし、ふたを開けてみると、6,000億円ほど減っただけです。将来の生産調整につながりかねない意図せざる在庫の増加があったのかと心配になります。
なぜだろうと調べてみて訳が分かりました。建設業での在庫投資の増加です。
金融業、
保険業を除く全産業を建設業、製造業、卸売業。小売業とその他に分けてみました。次の通りです。
産業別に見た第四四半期の在庫投資(億円)g産業 | 2013年 | 2014年 | 増加額 | 増加率 |
---|
全産業 | 57,454 | 51,455 | △5,999 | △10.4% |
建設業 | 14,979 | 29,707 | 14,728 | 98.3% |
製造業 | 11,656 | 3,054 | △8,602 | △73.8% |
卸売業、小売業 | 22,912 | 12,509 | △10,403 | △45.4% |
その他 | 7,907 | 6,185 | △1,722 | △21.8% |
建設業では在庫投資が倍近くに増えています。これは、建設、土木工事の途中のものか、工事を終わって販売を待っているマンションなどの増加でしょう。人手不足が言われるほど工事が増えているので、当然の結果です。建設業で急に生産が減ることはないでしょう。
建設業を除けば、在庫投資は大幅に減っています。製造業は7割、卸売業、小売業は5割、その他は2割です。
これを見る限り、在庫自体は増えているとはいえ、在庫の増加が原因となって生産調整が始まるとは考えにくい状況です。
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