毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2014年5月確報) その3

毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2014年5月確報) その2」までは、比率でみてきましたが、比率でみるのは一段落したとしまして、実数を見てみようと思います。常用労働者が100万人以上の業種別にみてみました。 常用労働者の増減(対前年同月比、万人)
規模全体フルタイムパートタイム
調査産業計65.323.841.5
卸売・小売2.51.70.9
製造業△3.1△8.25.1
医療・福祉16.710.46.2
宿泊飲食サービス15.96.09.9
その他のサービス6.22.63.7
運輸・郵便5.8△2.38.1
教育・学習支援6.43.53.0
建設業6.65.80.8
生活関連サービス2.51.11.3
情報・通信業2.03.0△1.0
金融・保険業0.4△0.40.8
学術研究2.2△0.83.1
人手不足とは言われていますが、常用労働者数は65万人程度にとどまっています。また、その中心はパートタイム労働者で、フルタイム労働者の増加は24万人位です。パートタイム労働市場はタイト化してきていると思いますが、フルタイムはどうでしょうか。 フルタイムがあまり増えないのは、製造業で減少が続いているからです。実質雇用者所得が増えない中で、消費の伸びはあまり期待すべきではないと思います。円安が続いている割には輸出数量も増えていません。今後の輸出が増え始めるのかどうか、その動きを見ていく必要があります。 これに対して、医療福祉は大健闘です。ただ、所定内給与が製造業より1万5千円ほど安い。税金、保険料で賄われているので、ここをなんとかしないと賃金は上がらないでしょう。国民に必要とされている成長産業を低賃金産業にしてしまっていいのでしょうか? 人手不足が言われる飲食業では、フルタイム、パートタイムとも増加しています。パート、アルバイトが不足しているといいますが、本当に人手がないのではなく、高卒初任給並みの低賃金で働く人が減っているのを、人手不足と感じているだけではないのでしょうか?なお、フルタイムがこんなに急に増えて、教育が行き届くのか心配になります。 建設業のフルタイム労働者は、復興事業、東京オリンピックなどの需要があり堅調な伸びです。小泉政権時代の無理な公共事業抑制がなければ、建設業がボトルネックになることはなかったでしょう。目先だけを考えた政策のつけが出て来ているといえます。しかし、着実に労働力は回復しています。塵埃育成の動きも出て来ていますので、技能実習+特定活動などで無理なことをしなければ、復活の道は大きく開けていると思われます。 子どもが減っても、教育学習支援業はフルタイム、パートタイムともに増えています。 これに対して、学術研究ではフルタイムが減っています。いいんでしょうか? 平凡な結論ですが、労働市場の改善のためには製造業でフルタイム労働が減らないようになることが重要です。 人気blogランキングでは「社会科学」の13位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング