This time is defferent.
というのは、「今回だけはうまくいく」といった意味で使われることが多いようです。
今回の景気回復を過去二回の景気回復と比べてみました。今回は少し性格が違う景気回復になっているのかもしれません。
現象面から考えていきます。
景気の指標として、まず、GDPから民間在庫品増加と公的在庫品増加を除いて最終需要を求めます。さらに
帰属家賃を差し引きます。すると、
市場で取引された最終需要というべきものが求められます。季節調整済みの実質値で捉えます。
これのボトムを構成していたのは、①2009年第一四半期、②2011年第二四半期、③2012年第四四半期です。なお、消費税率引き上げの影響があるのですが、④2014年第二四半期もあります。
これらを起点(ゼロ期)に、①では6期まで、②では4期まで、③では3期まで、④では今のところ3期まで回復が続きました。
さて、注目したいのは
消費割合です。これは
帰属家賃を除く家計消費が
市場で取引された最終需要のどれだけを占めているかを示すものです。
消費割合(%)期 | ① | ② | ③ |
---|
ゼロ期 | 71.6 | 70.4 | 70.8 |
1期 | 70.6 | 69.8 | 70.7 |
2期 | 70.1 | 69.5 | 70.7 |
3期 | 69.6 | 69.5 | 70.4 |
4期 | 69.3 | 69.5 | 70.4 |
5期 | 69.3 | 70.4 | - |
6期 | 69.0 | - | - |
7期 | 68.9 | - | - |
比較すれば分かるように、①と②では回復の一期目、二期目に消費割合が大きく下がっています。つまり、民間住宅投資、企業設備投資、政府消費支出、公的資本形成、純輸出の割合が高まっています。これらを、やや厳密性を欠きますが、独立支出と呼ぶことにしましょう。回復パターンは独立支出の増加=生産の増加→ラグを持っての
可処分所得の増加、消費支出の増加=生産のさらなる増加というものであったと考えらえます。これは、別に異常な事態ではなく、日本経済の
景気変動の通常のパターンです。
③では消費支出の割合がほとんど低下していません。独立支出も消費支出もほぼ同じように増加しています。もし、消費減税など、消費を刺激するような政策が取られていたなら、独立支出とは別に消費が増加することは考えられますが、そのようなことはありませんでした。③でこの通常のパターンから外れたのはなぜでしょうか?
この理由を確かめるのは、今回の景気回復の行方を考える上でも大事なことだと思います。これを考えていきたいと思います。
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