前年同期比でみると

季節調整値で判断するのは危険。今回は。」である場合、原数値で判断するという手法が考えられる。 この場合も消費税引き上げ前の駆け込みとその反動をなんとかする必要がある。そのためには、第一、第二四半期毎に見るのではなく、上半期でみるのがよい。住宅建設、耐久消費財の反動などは、長期にわたる可能性があるのでこのような方法で調整するには無理があるが、耐久性のない消費についてはかなりの程度カバーすることができる。 しかし、消費税が引き上げられたことにより、経済のトレンドに断絶が生じているとすれば、上半期での判断には限界がある。上半期のデータは、もし消費税の引き上げがなかったらもっと高めになっていたはずの数字と考えるのがいい。ただし、それがどの程度高めであったのかはわからない。 また、原数値で見る以上、当然、単純な前期比は意味がなく前年同期比で見ることになる。 さらに、設備投資などは二次速報で大きく修正される可能性がある。 このような限界があることを念頭に置いて、以下の試算を見ていこう。 2014年上半期国民経済計算(実質、兆円、%)
項目増加率寄与度
GDP2631.41.4
民間最終消費支出1550.50.3
うち家計最終消費支出1510.40.3
うち帰属家賃を除く1260.30.1
民間住宅5.20.1
民間企業設備389.61.3
民間在庫品増加△318.0△0.2
政府最終消費支出520.70.1
公的固定資本形成119.00.4
純輸出△15.8△0.3
支出の側からとらえたGDPの成長率は1.4%である。2012年、2013年ともその成長率が1.5%であったことを考えると、加速したとは言えないが、大きく減速したともいえない。 構成要素を見ると、民間企業設備投資の寄与度が1.3%と成長のほとんどを支えている。増加率も9.6%とかなり高い。もう一つの柱は公的固定資本形成であり、寄与度は0.4である。なお、民間在庫品増加の寄与度は△0.2%である。 これに対して、家計最終消費支出は低調である。寄与度は0.3%に過ぎず、増加率も0.3%にとどまっている。しかも、持ち家の帰属家賃を除くと寄与度は0.3%、増加率は0.1%である。家計最終消費支出は2012年は2%増加、2013年は1.9%の増加であったので、減速したといっていいだろう。参考までに、交易益利得・損失を加味した国内総所得を見ると、0.8%しか増加していない。生産の伸びの相当部分が失われている。生産は増えても所得が増えないという状況では消費は増えにくい。また、実質賃金のの低下が大きな影響を与えているのではないだろうか。 純輸出の寄与度は△0.3%である。 要約すると上半期を平均すれば民間企業と政府の投資だけに支えられた巡航速度の成長であったといえる。 後半失速していないかどうか、これが問題である。 人気blogランキングでは「社会科学」の17位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング