雇用と賃金を考える(2013年11月・フルタイム労働者)
「雇用と賃金を考える(2013年11月・常用労働者)」に続き、フルタイム労働者について考えます。
賃金面では、いい結果が出ています。
現金給与総額は1.3%増加です。2013年では1月が1.1%、6月が1.3%と1%を超す増加がありましたが、年内3回目です。8月が-0.2%、9月が0.4%。10月が0.6%と増加幅が大きくなってきています。
このうち決まって支給する給与は、0.7%の増加です。これも、6月、7月が0.0%、8月、9月が0.3%、10月が0.4%と増加幅が増えてきています。
基調を表すので重要だと私が思っている所定内給与も0.2%の増加です。所定内給与は、7月には-0.4%で減少、8月、9月は0.0%と横ばい、10月は再び-0.1%と減少していたのですが、11月にはプラスに転じました。私は、所定内給与×雇用が増加していれば、所定内給与が減っていても構わないと持っていますが、11月は雇用も増えており、所定内給与も増えているので、大いに結構なことだと思います。
早出、残業や休日出勤に対する支払である所定外給与は6.6%の増加、ちなみに所定外労働時間も6.5%増加しています。特別給与は13.0%と二けたの増加です。
ちょっと、労働時間に寄り道をしますと、製造業では所定外労働時間が13.9%と二けたの伸びになっていますし、卸売業・小売業でも7.8%増えています。これが雇用拡大の前触れであればいいのですが。
元に戻って、賃金面では、問題は見当たりません。雇用がどうなっているかです。
雇用も悪くありません。0.2%の増加です。5月には0.2%の減少でしたが、6月、7月、8月と0.0%と横ばいが続き、いつになればプラスになるかと思っていたら、ようやく9月に0.1%の増加になり、10月も0.1%の増加でした。11月は増加幅が少しだけ増えています。しかし、水準は低く、指数でみると100.2です。リーマンショックのあった2008年11月が100.8でしたから、まだその水準にも届いていません。持続的に拡大を続けることが必要です。
フルタイム労働者が100万人以上いる産業で、フルタイム雇用の増加率が高いのは次の通りです。
建設業 255万人、3.3%
その他サービス業 247万人、2.9%
医療、福祉 430万人、2.3%
所定外労働時間が増えていた製造業は、690万人、-2.1%、卸売業、小売業は496万人、-2.0%です。 残業が増えて、雇用が減るというのはあまりいい傾向ではありません。
さて、雇用の伸び0.2%と現金給与の伸び1.3%を合わせると1.5%で、ちょうど消費者物価の上昇率と同じです。消費の拡大のためには、もっと賃金が上がる必要があります。そのためには労働市場がもっとタイトになることが必要です。ここでカギを握るのがパートタイム労働の動きです。
ということで、次回はパートタイム労働の検討をする予定です。
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