雇用と賃金を考える(2014年1月・パートタイム労働者)

雇用と賃金を考える(2014年1月・フルタイム労働者)」に続いて、パートタイム労働者の動きです。 賃金から見ていきましょう。注目されるのは、2013年の6月以降12月まで前年同月比マイナスが続いていた現金給与総額が1.5%のプラスに転換したことです。パートタイム労働者の賃金は所定内給与がほとんどです。1月ですと現金給与総額93,121円のうち所定内給与は88,707円で95%以上です。現金給与総額の変化の多くは所定内給与の変化です。所定内給与も2013年の6月以降11月まで前年同月比マイナスが続き、12月に前年同月と同じになっていたのですが、1月には1.2%の増加に転じました。 パートタイム労働者の賃金は時給×労働時間で決まるケースがほとんどです。所定内労働時間は2013年はずっと前年同月比マイナスだったのですが、1月には0.2%の増加に転じています。特に製造業の所定内労働時間が3.4%と高い増加率になっています。 所定内労働時間が0.2%増加しているので時給に近いと考えられる1時間当たり所定内給与は1%の上昇ということになります。 労働需要の増加により時給が高くなり、しかも、労働時間も増えたため現金給与総額が増えたといえるでしょう。 雇用に移ります。パートタイムの常用雇用は2.7%の増加です。2013年中パートタイムの常用雇用は、4月(2.2%)、6月(2.9%)を除いて3%台の増加を続けてきたのですが、増加率がかなり低下しています。これが続くのかどうか注目です。 人数でみると37万3千人の増加です。どの産業で増えているのかを見ると、次の通りです。製造業も増えているのですが、多くは広い意味でのサービス業での増加です。 飲食サービス業等  8万6千人 医療、福祉       7万7千人 生活関連サービス業 6万7千人 製造業          6万1千人 労働投入量を計算してみると、雇用が2.7%、総実労働時間が0.2%の増加ですから、2.9%の増加です。1時間当たり所定内給与は1%の増加ですから労働投入の賃金率弾力性は2.9です。 賃金が上昇しつつ雇用が増えるというのは典型的な需要増加のパターンです。課題は、フルタイム雇用も増加する中で、パートタイム労働の供給がどこまで増えるかです。「総務省統計局の2月の労働力調査」によると、15歳から64歳までの就業率は71.9%で前年同月に比べて1.1%ポイント上昇しています。パートタイム労働に就く割合の高い女性をとると、62.7%、1.2%ポイントの上昇です。供給の限界に達した場合は、時給が急上昇するでしょう。パートタイム労働者を活用してきた経営者は、労働市場の動向に注意を払い、対応を考えておくべきでしょう。 人気blogランキングでは「社会科学」の28位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング