宿泊業、飲食サービス業のフルタイム労働者比率上昇

最近になって、飲食店で人手不足が発生しているという話を聞くことが多くなりました。 「雇用と賃金を考える(2014年1月・パートタイム労働者)」で「飲食サービス業等」と示したものは正確には「宿泊業、飲食サービス業」です。 中身は次の通りです。 大分類 M 宿泊業,飲食サービス業 中分類 75  宿泊業     750  管理,補助的経済活動を行う事業所(75宿泊業)       7500  主として管理事務を行う本社等       7509  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所     751  旅館,ホテル       7511  旅館,ホテル     752  簡易宿所       7521  簡易宿所     753  下宿業       7531  下宿業     759  その他の宿泊業       7591  会社・団体の宿泊所       7592  リゾートクラブ       7599  他に分類されない宿泊業 中分類 76  飲食店     760  管理,補助的経済活動を行う事業所(76飲食店)       7600  主として管理事務を行う本社等       7609  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所     761  食堂,レストラン(専門料理店を除く)       7611  食堂,レストラン(専門料理店を除く)     762  専門料理店       7621  日本料理店       7622  料亭       7623  中華料理店       7624  ラーメン店       7625  焼肉店       7629  その他の専門料理店     763  そば・うどん店       7631  そば・うどん店     764  すし店       7641  すし店     765  酒場,ビヤホール       7651  酒場,ビヤホール     766  バー,キャバレー,ナイトクラブ       7661  バー,キャバレー,ナイトクラブ     767  喫茶店       7671  喫茶店     769  その他の飲食店       7691  ハンバーガー店       7692  お好み焼・焼きそば・たこ焼店       7699  他に分類されない飲食店 中分類 77  持ち帰り・配達飲食サービス業     770  管理,補助的経済活動を行う事業所(77持ち帰り・配達飲食サービス業)       7700  主として管理事務を行う本社等       7709  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所     771  持ち帰り飲食サービス業       7711  持ち帰り飲食サービス業     772  配達飲食サービス業       7721  配達飲食サービス業 今話題になっているのは、多分、中分類76の飲食店でしょう。少し範囲に差があるので、無理があることは承知で、この産業のパートタイム労働の動きを毎月勤労統計で追ってみました。すべて前年同期比、%です、 パートタイム労働の動き
1時間当たり所定内給与常用雇用総実労働時間労働投入
2012年上半期4.75.55.111.0
2012年下半期1.15.60.76.3
2013年1-3月△0.85.0△2.32.6
2013年4-6月△0.84.4△0.73.7
2013年7-9月△1.05.2△2.13.0
2013年10-12月0.14.4△1.43.0
(2013年12月)1.84.2△0.93.3
2014年1月1.62.9△1.21.7
時給と呼ばれるものに一番近い1時間当たり所定内給与は、2013年の11月まではマイナスでしたが、12月、2014年1月と連続して1%を超す上昇に転じています。常用雇用は4%を超える高い増加率でしたが、1月には2.9%にとどまっています。採用難が始まっているのかもしれません。総実労働時間は2013年から一貫して減り続けています。この二つを組み合わせた労働投入は、2013年の第二四半期以降も3%を超える伸びを示していましたが、2014年1月には1.7%と伸び率が低くなっています。 年末あたりから時給を上げても労働投入があまり伸びない状況になってきているのではないかと思います。この産業は、常用労働者400万人のうち75%の300万人がパートタイム労働者であるパートタイム依存型産業です。パートタイム労働者が確保できないのは大きな問題でしょう。 いろいろ対策はあると思うのですが、一つ、私が注目していることがあります。フルタイム労働者の雇用が増え始めていることです。フルタイム労働者は2013年10月から前年同月比増加に転じています。そして2014年1月には、突然4.7%という高い伸びを示しました。パートタイム労働者の増加率を上回っています。つまり、フルタイム労働者の比率が上がったということです。統計には様々な誤差がつきものですが、これが実態を正しく反映していて、この傾向が続くと、パートタイム労働市場がタイトになり、パートタイム労働が確保できなくなり、フルタイムの採用が進むということになります。雇用の質の改善という立場からはいいことではないでしょうか。 4月以降の動きに注目したいと思います。 人気blogランキングでは「社会科学」の番外でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング