「
毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2015年5月分確報)」で示したように、現在、雇用が拡大を続けていることは疑いがありません。
これはある意味では、不思議なことです。片岡剛志さんのコラム「
回復ペースは強まるか?2015年後半の日本経済」の見出しを追いかけていくとその奇妙なことがよく分かります。
消費税増税後、力強さに欠ける消費の動き
不振となった2015年4~6月期の生産活動
前期比マイナスとなった2015年4~6月期の輸出
引き続き改善が進む雇用
最初の三つを示して、
○○する雇用の○○を当てろという問題を出せば、普通返ってくる答えは
悪化か良くても
停滞でしょう。間違っても
改善にはならないはずです。
つまり、現在は本来は密接に関連していて同じ方向に動くはずの生産活動の動きと雇用の動きにかい離が発生しているのです。実は、このかい離は2014年度から続いています。
消費税率の引き上げにより景気が停滞した2014年度は雇用が悪化してもおかしくはなかったのに、毎月勤労統計でみると雇用者数は一般労働者もパートタイム労働者も増加しています。
常用雇用指数対前年度比増加率(%)事業所規模 | 計 | 一般労働者 | パートタイム労働者 |
---|
5人以上 | 1.7 | 0.9 | 3.3 |
30人以上 | 0.5 | 0.1 | 1.9 |
30人以上事業所の一般労働者は、増加したといっても0.1%で大したことはないと思われるかもしれませんが、これは過去5期間連続して減少を続けて来ていたので、大きな転換点といえると考えています。なお、30人以上規模事業所で一般労働者が傾向的に前年同期を上回るようになったのは2014年6月からです。
一般労働者雇用指数対前年度比増加率(%)年度 | 増加率 |
---|
2009 | △0.8 |
2010 | △0.7 |
2011 | △0.3 |
2012 | △0.8 |
2013 | △0.3 |
なぜこのようなかい離が生じているのでしょうか?
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