12月の確報が出ました。
雇用の動きを見ると、10月、11月より少し良くなっている感じがします。常用雇用全体では1.7%増加、一般労働者は1.2%増加、パートタイム労働者は2.8%増加です。パートタイムは11月と同じですが一般労働者のの伸び率は0.1ポイント高くなっています。7月、8月、9月と同じ増加率です。「
毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2014年10月確報)」で、「フルタイムの伸びが続いているとはいえ、伸び率の傾向的な高まりはストップ」していますが、維持はしています。これが巡航速度なのかとも思います。
産業計ではパートタイム労働者の割合が高まり続けているのも、これまでと変わりがありません。しかし、製造業、
情報通信業、卸売業・小売業、金融業・
保険業、飲食サービス業・宿泊業、医療・福祉、複合サービス業では一般労働者の増加率(減少率)がパートタイム労働者の増加率(減少率)を上回って(下回って)おり、一般労働者の比率が高くなっています。
このうち、製造業(E)の一般労働者は前年同月比0.0%と横ばいになりました。2012年6月に0.3%増となってから、およそ2年半の間前年同月比マイナスが続いていたのですが、ようやくマイナスを脱しました。一般労働者の所定外労働時間指数は115.4とかなり高い水準にあり、今後、労働者数が増えていく可能性があります。パートタイム労働者は0.9%ですが、減少しています。
常用雇用の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 1.4
| 0.6 | 3.3 |
5月 | 1.4 | 0.7 | 3.1 |
6月 | 1.5 | 1.0 | 2.8 |
7月 | 1.7 | 1.1 | 3.0 |
8月 | 1.7 | 1.3 | 2.4 |
9月 | 1.7 | 1.1 | 2.9 |
10月 | 1.6 | 1.0 | 2.8 |
11月 | 1.6 | 1.1 | 2.8 |
12月 | 1.7 | 1.2 | 2.8 |
総実労働時間は、全体では1.1%、フルタイムは0.7%、パートタイムは1.7%の減少です。
総実労働時間の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | △0.7 | △0.2 | △0.4 |
5月 | △0.8 | △0.4 | △0.8 |
6月 | 0.5 | 1.0 | △0.1 |
7月 | 0.7 | 1.0 | △0.2 |
8月 | △1.6 | △1.5 | △1.9 |
9月 | 0.5 | 0.8 | △0.2 |
10月 | 0.5 | 1.2 | △1.4 |
11月 | △2.7 | △2.7 | △2.0 |
12月 | △1.1 | △0.7 | △1.7 |
常用雇用の増加率と総実労働時間の増加率を足して(近似値になります。)、労働投入を考えますが、労働時間は減っているものの雇用の増え方のほうが大きいため、0.6%増えています。
総労働投入の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 0.7 | 0.4 | 2.9 |
5月 | 0.6 | 0.3 | 2.3 |
6月 | 2.0 | 2.0 | 2.7 |
7月 | 2.4 | 2.1 | 2.8 |
8月 | 0.1 | △0.2 | 0.5 |
8月 | 2.2 | 1.9 | 2.7 |
9月 | 2.2 | 1.9 | 2.7 |
10月 | 2.1 | 2.2 | 1.4 |
11月 | △1.1 | △1.6 | △0.8 |
12月 | 0.6 | 0.5 | 1.1 |
これに対して
名目賃金の動きです。
現金給与総額は、全体では1.3%増加しました。フルタイムは、1.8%の増加、パートタイムは、0.4%の減少です。パートタイム労働者の減少は2か月連続です。フルタイム労働者の所定内給与も0.7%増加していますが、特別給与は2.6%の増加です。
名目賃金の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 0.7 | 1.2 | 0.9 |
5月 | 0.6 | 1.0 | 0.8 |
6月 | 1.0 | 1.5 | 0.7 |
7月 | 2.4 | 3.0 | 1.0 |
8月 | 0.9 | 1.3 | 0.6 |
9月 | 0.7 | 1.1 | 0.5 |
10月 | 0.2 | 0.6 | 0.2 |
11月 | 0.1 | 0.7 | △1.1 |
12月 | 1.3 | 1.8 | △0.4 |
所定内給与は、全体では0.2の増加です。パートタイム労働者が0.7%の減少となったため、フルタイム労働者の増加率よりも低くなりました。パートタイム労働者の所定内労働時間は1.6%減っていますので、1時間当たりに直すと0.9%の上昇です。これぐらいの増加が続いています。
では、名目でみた雇用者所得はどうなっているか、試算してみると次のようになります。やはり近似計算です。2%台の伸びが続いていましたが、10月は1.8%、11月は1.7%増加と増加率が低下してきています。
雇用者所得の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 2.1 | 1.8 | 4.2 |
5月 | 2.0 | 1.7 | 3.9 |
6月 | 2.5 | 2.5 | 3.5 |
7月 | 4.1 | 4.1 | 4.0 |
8月 | 2.6 | 2.6 | 1.8 |
9月 | 2.4 | 2.2 | 3.4 |
10月 | 1.8 | 1.6 | 3.0 |
11月 | 1.7 | 1.8 | 1.7 |
12月 | 3.0 | 3.0 | 2.4 |
「
「毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2014年11月確報)」で「12月はボーナスが支給されていますので、少し期待できるでしょう。」と書いたのですが、実質でみた労働者全体の賃金総額は横ばいとなりました。
1月、2月で大きく状況が変わっている様子はありません。4月以降消費税率引き上げの特殊要因がなくなるので、
物価上昇率は低くなります。名目雇用者報酬が今の調子で増加すれば、実質で報酬が増えることになります。今日発表された貿易統計でも1月の輸出数量は11.2%(速報)と高い伸びを示しています。消費と輸出により出荷が増え、生産が増えていけば、雇用はさらに改善されます。
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