今回は、
所得環境は悪いということを説明しようと考えています。
雇用の動きを見ると、「
毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2014年6月確報) その1」で示した
常用労働者の動きを再度書いておきます。常用雇用全体では1.5%増加で、一般労働者は1.0%増加、パートタイム労働者は2.8%増加です。
常用雇用の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 1.4
| 0.6 | 3.3 |
5月 | 1.4 | 0.7 | 3.1 |
6月 | 1.5 | 1.0 | 2.8 |
これに対して
名目賃金の動きです。
現金給与総額はフルタイム、パートタイムともに増えています。
名目賃金の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 0.7 | 1.2 | 0.9 |
5月 | 0.6 | 1.0 | 0.8 |
6月 | 1.0 | 1.5 | 0.7 |
フルタイム労働者の雇用が増えている中での賃金の増加ですから、それほど悪いものでないことは前月と同様です。ただ、パートタイム労働者の1時間当たり所定内給与の増加率は0.8%と前月の1.4%から低下しています。
ついでですが、パートタイム労働者の総実労働時間の減り方が減っています。
では、名目でみた雇用者所得はどうなっているか、試算してみると次のようになります。やはり近似計算です。
雇用者所得の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 2.1 | 1.8 | 4.2 |
5月 | 2.0 | 1.7 | 3.9 |
6月 | 2.5 | 2.5 | 3.5 |
名目で見れば雇用者所得の増加率は高まってきています。6月は特殊要因がありますが。そう悪い数字ではありません。名目ならば。
問題は
消費者物価が
総合で3.3%、
持ち家の帰属家賃を除く総合ではなんと4.4%も上昇していることです。賃金はもちろん、雇用者所得も実質でみればマイナスです。
現在の数字を見る限り、
消費税の引き上げ率3%はいささか過大であったような気がします。1%づつ上げていくといった慎重な態度のほうがよかったでしょう。
「
毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2014年5月確報) その2」で書いた
まだ、雇用の拡大も賃金の上昇も、消費税の引き上げ3%を消化できる段階には入っていません。人手不足の声に惑わされることなく、労働市場のさらなるタイト化を進めるべきです。さもないと、消費の減少から不況に突入しかねません。
雇用が2.5%拡大し、賃金が1.2%上がって、ようやく実質での雇用者所得は維持できます。まだまだ、雇用の拡大も賃金の上昇も不足しています。カギを握っているのはフルタイム労働者数の拡大です。
という意見に変わりはありません。
フルタイム労働者の雇用が増えているのが救いです。
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