11月の確報が出ました。
雇用の動きを見ると、10月とほぼ同じ動きです。常用雇用全体では1.6%増加、一般労働者は1.1%増加、パートタイム労働者は2.8%増加です。どちらも9月より0.1ポイント下がっています。「
毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2014年10月確報)」で書いたように、「フルタイムの伸びが続いているとはいえ、伸び率の傾向的な高まりはストップ」しました。パートタイム労働者の割合が高まり続けているのも、これまでと変わりがありません。
常用雇用の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 1.4
| 0.6 | 3.3 |
5月 | 1.4 | 0.7 | 3.1 |
6月 | 1.5 | 1.0 | 2.8 |
7月 | 1.7 | 1.1 | 3.0 |
8月 | 1.7 | 1.3 | 2.4 |
9月 | 1.7 | 1.1 | 2.9 |
10月 | 1.6 | 1.0 | 2.8 |
11月 | 1.6 | 1.1 | 2.8 |
11月で注目されるのは労働時間が急に減っていることです。総実労働時間は、全体では2.7%も減っています。フルタイムは2.7%の減少、パートタイムは2.0%の減少です。パートタイムは傾向的に減って来ていましたが、フルタイムが急に減った理由は不明です。労働者数の多い産業で押し並べて減っています。
総実労働時間の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | △0.7 | △0.2 | △0.4 |
5月 | △0.8 | △0.4 | △0.8 |
6月 | 0.5 | 1.0 | △0.1 |
7月 | 0.7 | 1.0 | △0.2 |
8月 | △1.6 | △1.5 | △1.9 |
9月 | 0.5 | 0.8 | △0.2 |
10月 | 0.5 | 1.2 | △1.4 |
11月 | △2.7 | △2.7 | △2.0 |
常用雇用の増加率と総実労働時間の増加率を足して(近似値になります。)、労働投入を考えますが、雇用が増えているものの労働時間の減り方のほうが大きいため、労働投入が1.1%減っています。
総労働投入の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 0.7 | 0.4 | 2.9 |
5月 | 0.6 | 0.3 | 2.3 |
6月 | 2.0 | 2.0 | 2.7 |
7月 | 2.4 | 2.1 | 2.8 |
8月 | 0.1 | △0.2 | 0.5 |
8月 | 2.2 | 1.9 | 2.7 |
9月 | 2.2 | 1.9 | 2.7 |
10月 | 2.1 | 2.2 | 1.4 |
>11月 | △1.1 | △1.6 | △0.8 |
これに対して
名目賃金の動きです。
現金給与総額はこれまでフルタイム、パートタイムともに増えて来ていましたが、11月はパートタイム労働者は減少に転じました。
名目賃金の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 0.7 | 1.2 | 0.9 |
5月 | 0.6 | 1.0 | 0.8 |
6月 | 1.0 | 1.5 | 0.7 |
7月 | 2.4 | 3.0 | 1.0 |
8月 | 0.9 | 1.3 | 0.6 |
9月 | 0.7 | 1.1 | 0.5 |
10月 | 0.2 | 0.6 | 0.2 |
11月 | 0.1 | 0.7 | △1.1 |
所定内給与を見ると、全体では0.0%と横ばいになりました。フルタイム労働者では0.5%の増加ですが、パートタイム労働者が1.0%の減少となったためです。フルタイム労働者は雇用が増えている中での所定内給与の増加が続いていますので、平均賃金の伸び率が低くてもそれほど悲観する必要はないと思われます。また、パートタイム労働者の所定内労働時間は2.0%減っていますので、1時間当たりに直すと1.0%の上昇です。奏悪化したとも言えません。
なぜ、労働時間、特に所定内労働時間が減ったのか、そして今後もこのような動きが続くのが問題です。
では、名目でみた雇用者所得はどうなっているか、試算してみると次のようになります。やはり近似計算です。2%台の伸びが続いていましたが、10月は1.8%、11月は1.7%増加と増加率が低下してきています。
雇用者所得の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 2.1 | 1.8 | 4.2 |
5月 | 2.0 | 1.7 | 3.9 |
6月 | 2.5 | 2.5 | 3.5 |
7月 | 4.1 | 4.1 | 4.0 |
8月 | 2.6 | 2.6 | 1.8 |
9月 | 2.4 | 2.2 | 3.4 |
10月 | 1.8 | 1.6 | 3.0 |
11月 | 1.7 | 1.8 | 1.7 |
さらに、
消費者物価が
総合で2.4%、
持ち家の帰属家賃を除く総合では2.9%上昇しているため、実質雇用者所得はマイナスになっています。
12月はボーナスが支給されていますので、少し期待できるでしょう。
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