毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2015年1月確報)

2015年1月の確報が出ました。今回からサンプルの抽出替えがありました。 雇用の動きを見ると、2014後半より少し良くなっている感じがします。常用雇用全体では2.0%増加、一般労働者は1.1%増加、パートタイム労働者は3.9%増加です。常用労働者全体で2.0%の増加は2008年10月以来です。また、パートタイム労働者は2009年4月に4.4%の増加尾w記録して以来の高い伸びです。サンプル変更の影響を割引する必要があるのかも知れませんが、堅調といっていいでしょう 一般労働者の伸び率は2014年の後半とほぼ同じです。「毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2014年10月確報)」で書いたように「これが巡航速度」なのかとも思います。 常用雇用の増加率(%)
規模全体フルタイムパートタイム
4月1.4 0.63.3
5月1.40.73.1
6月1.51.02.8
7月1.71.13.0
8月1.71.32.4
9月1.71.12.9
10月1.61.02.8
11月1.61.12.8
1月2.01.13.9
総実労働時間は、全体では0.0%と横ばい、一般(フルタイム)労働者は0.4%、パートタイムは1.0%の減少です。ただ、フルタイム労働者の所定外労働時間指数を見ると、2013年1月には99.0であったものが、消費税率引き上げ前の駆け込み需要のあった2014年1月には107.2と急増しています。2015年1月はこれを上回って109.2ですから、特別の需要がないのにこの水準ですから、かなり大目といえるでしょう。今後の雇用の増加につながればいいのですが。 総実労働時間の増加率(%)
規模全体フルタイムパートタイム
4月△0.7△0.2△0.4
5月△0.8△0.4△0.8
6月0.51.0△0.1
7月0.71.0△0.2
8月△1.6△1.5△1.9
9月0.50.8△0.2
10月0.51.2△1.4
11月△2.7△2.7△2.0
12月△1.1△0.7△1.7
1月0.00.4△1.0
常用雇用の増加率と総実労働時間の増加率を足して(近似値になります。)、労働投入を考えますが、労働時間画横ばいなので、雇用の増加率と同じ2.0%になります。勢いを盛り返してきた感があります。 総労働投入の増加率(%)
規模全体フルタイムパートタイム
4月0.70.42.9
5月0.60.32.3
6月2.02.02.7
7月2.42.12.8
8月0.1△0.20.5
9月2.21.92.7
10月2.12.21.4
11月△1.1△1.6△0.8
12月0.60.51.1
1月2.01.52.9
これに対して名目賃金の動きです。現金給与総額は、全体では0.6%増加しました。フルタイムは、0.9%の増加、パートタイムは、0.3%の増加です。 名目賃金の増加率(%)
規模全体フルタイムパートタイム
4月0.71.20.9
5月0.61.00.8
6月1.01.50.7
7月2.43.01.0
8月0.91.30.6
9月0.71.10.5
10月0.20.60.2
11月0.10.7△1.1
12月1.31.8△0.4
1月0.60.90.3
所定内給与は、全体では0.2%の増加です。フルタイムは0.4%、パートタイム労働者が0.1%の増加となっています。パートタイム労働者の所定内労働時間は1.1%減っていますので、1時間当たりに直すと1.2%の上昇です。安定した上昇です。 では、名目でみた雇用者所得はどうなっているか、試算してみると全体では2.0%の増加です。やはり近似計算です。 雇用者所得の増加率(%)
規模全体フルタイムパートタイム
4月2.11.84.2
5月2.01.73.9
6月2.52.53.5
7月4.14.14.0
8月2.62.61.8
9月2.42.23.4
10月1.81.63.0
11月1.71.81.7
12月3.03.02.4
1月2.62.04.2
2月、3月でで雇用や賃金が崩れた様子はありません。4月以降消費税率引き上げの特殊要因がなくなるので、物価上昇率は低くなり、名目雇用者報酬が今の調子で増加すれば、実質で報酬が増えることになります。消費の拡大が期待できます。 人気blogランキングでは「社会科学」の32位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング