「解雇の金銭解決」について

解雇の金銭解決」というエントリーを書いたことがあるが、それと関連するテーマで、「労働法学研究会報第2588号」で、hamachan先生が次のように書かれている。便宜のため番号を平家が追加した。 1 日本では、解雇を金銭解決してはいけない、という規定はどこにもない。  2 裁判だけを見ていると、解雇が有効か無効かという話になるが、労働審判を見ると、大部分が金銭解決をしている。3 全国の労働局のあっせんでも、ほとんどが金銭解決である。  4 金銭解決は是か非かという議論は確かに盛んだが、もうすでにやっているという事実がある。5 やっているけども今の状態でいいのかが問題。6 また金銭未解決件数の多さも問題である。 うーん。多分、私の民法、労働法の知識、実務の運営実態の勉強が不十分なのだと思う、いや、そうに違いないのだが、よく頭が整理できない。 1 についてはその通りだと思う。事実関係だし。 2 の前半についてもその通りだと思う。 2 の後半以降の「金銭解決」で支払われる金銭の法的な位置づけよく理解できない。ケースによりさまざまなのかもしれないと想像している。 金銭が支払われて雇用が終了する、というのはすべて解雇なのだろうか?金銭が支払われれば、労働者が使用者の一方的な行為である解雇に異議を唱えないというのであれば、これは金銭の給付を伴う解雇だ。使用者が雇用している労働者に金銭を支払うという条件で雇用の解約を申し込み、労働者が合意するのであれば、これは金銭の給付を伴う合意解約だ。 4 でやられている金銭解決、実際に労働審判やあっせんの結果、行われているのは、金銭の給付を伴う解雇なのだろうか、金銭の給付を伴う合意解約なのだろうか?当事者が、それを明確に分けていないという可能性もあるし、あいまいな形で処理されている可能性もあろうけれども。 (2015年1月10日 追記)たとえば、あっせんや和解で、「一 甲は乙に30万円を3月末日までに支払う。 二 甲と乙は1月31日で、雇用が終了したことを確認する。」といった形での処理は十分あり得るよう。それで紛争が解決されるのであれば、基本的には問題はない。 (2015年1月12日追記)つまり、このような場で行われているのは、解雇紛争の金銭による解決なのだ。「裁判所が定めた額、あるいは法令で定められた額の金銭を払えば労働者が解雇に異議を唱えても解雇が有効になる。』という意味での解雇の金銭解決ではない。 これが、5の今の状態でいいのかにつながる。政策的に、金銭の給付を伴う解雇に誘導するのか、金銭の給付を伴う合意解約に誘導する方向に持っていくのか?6の問題も含めて考える必要がある。 人気blogランキングでは「社会科学」の21位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング