7-9月期のGDPの二次速報の成長率が意外に(?)低く、V字回復の夢は完全に断たれ、10月以後の経済動向に関心が移っています。もっとも、10-12月期はほとんど終わりに近づいているので、1-3月期がどうなるのかが大事なはずです。
雇用の動きを見ると、常用雇用全体では7月、8月,、9月よりやや低い1.6%増加です。内訳をみると一般労働者は1.0%増加で、パートタイム労働者は2.8%増加です。どちらも9月より0.1ポイント下がっています。フルタイムの伸びが続いているとはいえ、伸び率の傾向的な高まりはストップしました。拡張ペースはわずかながらスローダウンしている様です。パートタイム労働者の増加率のほうが高いので、パートタイム労働者の割合は高まり続けています。
常用雇用の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 1.4
| 0.6 | 3.3 |
5月 | 1.4 | 0.7 | 3.1 |
6月 | 1.5 | 1.0 | 2.8 |
7月 | 1.7 | 1.1 | 3.0 |
8月 | 1.7 | 1.3 | 2.4 |
9月 | 1.7 | 1.1 | 2.9 |
10月 | 1.6 | 1.0 | 2.8 |
総実労働時間は、全体では9月と同じ0.5%の増加です。フルタイムは1.2%の増加、パートタイムは1.4%減少です。パートタイムは傾向的に減っています。
総実労働時間の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | △0.7 | △0.2 | △0.4 |
5月 | △0.8 | △0.4 | △0.8 |
6月 | 0.5 | 1.0 | △0.1 |
7月 | 0.7 | 1.0 | △0.2 |
8月 | △1.6 | △1.5 | △1.9 |
9月 | 0.5 | 0.8 | △0.2 |
10月 | 0.5 | 1.2 | △1.4 |
常用雇用の増加率と総実労働時間の増加率を足して(近似値になります。)、労働投入を考えると次のようになります。フルタイムの増加率のほうが高く、フルタイムのウェイトが高まってきています。
総労働投入の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 0.7 | 0.4 | 2.9 |
5月 | 0.6 | 0.3 | 2.3 |
6月 | 2.0 | 2.0 | 2.7 |
7月 | 2.4 | 2.1 | 2.8 |
8月 | 0.1 | △0.2 | 0.5 |
8月 | 2.2 | 1.9 | 2.7 |
9月 | 2.2 | 1.9 | 2.7 |
10月 | 2.1 | 2.2 | 1.4 |
これに対して
名目賃金の動きです。
現金給与総額はフルタイム、パートタイムともに増えていますが、そのスピードはかなり低下しています。
名目賃金の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 0.7 | 1.2 | 0.9 |
5月 | 0.6 | 1.0 | 0.8 |
6月 | 1.0 | 1.5 | 0.7 |
7月 | 2.4 | 3.0 | 1.0 |
8月 | 0.9 | 1.3 | 0.6 |
9月 | 0.7 | 1.1 | 0.5 |
10月 | 0.2 | 0.6 | 0.2 |
所定内給与を見ると、全体では0.1%、フルタイム労働者では0.6%の増加ですが、パートタイム労働者では0.0%の横ばいです。フルタイム労働者の雇用が増えている中での所定内給与の増加が続いています。平均賃金の伸び率が低くてもそれほど悲観する必要はないと思われます。また、パートタイム労働者の所定内労働時間は1.4%減っていますので、1時間当たりに直すと1.4%の上昇です。9月に見られたパートタイム
労働市場の陰りは消えたようです。
「
毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2014年9月確報)」でも書きましたが、フルタイム労働者の所定外労働時間の伸びが2.1%にとどまっているのが少し気がかりです。常用雇用が増えた結果、減ったのならいいのですが、やはり気になります。
では、名目でみた雇用者所得はどうなっているか、試算してみると次のようになります。やはり近似計算です。2%台の伸びが続いていましたが、10月は1.8%の増加にとどまりました。
雇用者所得の増加率(%)規模 | 全体 | フルタイム | パートタイム |
---|
4月 | 2.1 | 1.8 | 4.2 |
5月 | 2.0 | 1.7 | 3.9 |
6月 | 2.5 | 2.5 | 3.5 |
7月 | 4.1 | 4.1 | 4.0 |
8月 | 2.6 | 2.6 | 1.8 |
9月 | 2.4 | 2.2 | 3.4 |
10月 | 1.8 | 1.6 | 3.0 |
名目は悪くはないのですが、やはり問題は
消費者物価が
総合で2.9%、
持ち家の帰属家賃を除く総合では3.4%
3.9%上昇していることです。3か月連続で実質ではマイナスに戻ってしまいました。
速報ではプラスに転じていた製造業のフルタイム雇用は、残念ながら0.2%の減少です。飲食サービス業ではフルタイムが5.2%、パートタイムが5.1%の増加です。全体では5.1%の増加ですから、問題はないでしょう。
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