低賃金ビジネスモデルからの転換の動き
「若者が働いている割合」で書いたように、外食産業では、そして場合によっては小売業もビジネスモデル転換の必要に迫られているようです。背景には景気回復があり、劣等財への需要が減り始め、正常財の需要が増え始めていること、若年者の労働市場がタイト化していることがあります。
ここ1,2週間の新聞記事から、いくつかの転換の努力を抜き出してみました。
製品の切り替え
牛丼からすき焼き風定食へ
生産設備の改善
不採算店舗の閉鎖、休業
ワタミ 居酒屋60店舗を閉鎖(240人の新卒採用を計画していたが、入社は120人)
すき家 一部店舗の休業
営業時間の短縮
すき家 24時間営業を22時までに(大学生を中心とするアルバイトの不足)
パート・アルバイトにもボーナスを支給
注目を集めているのは、小売業の次の例でしょう。
パート・アルバイトの地域限定正社員登用
ファーストリテイリング パートやアルバイト約三万人のうち一万六千人を勤務地を限定した正社員に登用(フルタイムで働けないパートも)
イケアの例も興味深いものです。ホームページに次のように書かれています。
すべてのコワーカーに同じ福利厚生を、同じ職務には労働時間に関係なく同じ給与レンジを適用。また、無期雇用契約(期間に定めのない雇用)で雇用の安定を図り、より柔軟な職場環境を提供します。
二つとも、短時間労働者=有期契約の労働者=低賃金でもいい労働者という固定的な図式を破るチャレンジでしょう。両社とも労働者に長期間働いてもらって、質を上げることを目標としているようです。
イケアの場合、この運用は、世界ではすでにやっているらしいので、うまくいくかどうか注目です。もちろん、両社が成功して優秀な労働者を確保し、営業成績も向上すると、これは、「低賃金ビジネスモデルからの脱却」で、小売業に新しいビジネスモデルを提供したことになるでしょう。
私が見た限りでは、外食産業のチェーン店ではこのような取り組みはまだないようです。現在のビジネスモデルからの転換は進むのでしょうか?
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