10 years later

子育て世代 働く女性最多」にに引き続き、女性労働関連です。「確かに働く女性は増えたけれど、増えたのは非正規」といった声があります。 簡単に検証してみたいと思います。やはり、総務省労働力調査を使いますが、平成25年の平均はまだ速報ですので、24年の確報を使います。 まず、14年と比較をしてみます。 雇用者の増減(万人)
24年の年齢雇用者正規非正規
215△11226
15歳から24歳まで△69△43△25
25歳から34歳まで△45△49
35歳から44歳まで1436182
45歳から54歳まで△1720
55歳から64歳まで12423100
65歳以上591346
ここで、「雇用者」としているのは「役員を除く雇用者」です。「正規」は「正規の職員・従業員」で、「非正規」は非正規の職員・従業員です。これはさらに、「パート」、「アルバイト」、労働者派遣事業所の派遣社員」、「契約社員・嘱託」、「その他」に区分されています。 年齢計では正規が11万人減り、非正規が226万人増えているので、上のような声は正しいわけです。 年齢別にみると、15歳から24歳までは、人口自体が減っていますし、正規だけではなく非正規も減っているので、「まあ仕方がないか』という感じです。 1 25から34歳は正規が大きく減っていますが、非正規の増加はさほどでもありません。 2 35歳から44歳は、正規も非正規も増えていて、非正規の増加のほうが多いのですが、差は21万人にとどまります。 3 45歳から54歳は、正規が減り、非正規が増えています。差は37万人です。 4 55歳から64歳は、正規、非正規とも増えています。やはり非正規の増え方のほうが多く、差は77万人です。 5 意外に増えているのが、65歳以上です。団塊の世代が含まれていることが大きく影響していると思います。正規も、非正規も増えていて、差は、33万人です。 こうしてみると、正規が減ったのは15歳から34歳中心。非正規の増加は35歳以上中心ということになります。 女性に限れば、若年で非正規が増えたわけではありません。正規は35歳以上では正規は増加基調です。管理職まではいかなくとも、職場の中堅、リーダーでは確実に女性が増えているはずです。私の実感とは一致していますが、みなさんの周囲ではいかがでしょうか?私は、このあたりでは、女性の社会的進出は進んだといっていいと思っています。 例外が45歳から54歳です。彼女らだけは正規が減っています。なぜでしょう? ここで、視点を変えて、10年前の彼女たちとの比較をしてみましょう。45歳から54歳の女性の場合、彼女らが35歳から44歳だったときとの比較をするのです。ただ、15歳から24歳は、10年前は5歳から14歳だったので比較は意味がありません。また、現在の65歳以上は55歳以上だったので、10年前の55歳から64歳と65歳以上を合計したものと比較します。 雇用者の増減(万人)
24年の年齢雇用者正規非正規
25歳から34歳まで18913258
35歳から44歳まで37△74111
45歳から54歳まで7468
55歳から64歳まで△116△94△23
65歳以上△200△96△104
年齢別にみると、 1 25から34歳は正規が大きく増えています。これは学校を卒業して、働き始めたためです。非正規の増加はパートタイムが増え、アルバイトが減っています。アルバイトの減少は、やはり、学校を卒業したからでしょう。 2 35歳から44歳は、結婚したり、出産したりした人がある程度いるはずですが、全体としての雇用者は増えています。M字カーブのようなものは見られません。ただし正規は減って、非正規が増えています。労働市場からの「退却」というより、「転進」といったほうがいいかもしれません。 3 注目すべきは45歳から54歳です。全体としても増加していますし、正規が増えています。決して正規が減り非正規が増えるという意味での非正規化が進んだのではありません。しぶとく正規として生き残っていたり、世紀への転換を果たしているのです。健闘しているといっていいと思います。 4 55歳から64歳は、正規、非正規とも減少です。引退過程でしょう。60歳以上は年金の支給が始まっています。減った人数は正規のほうが多いです。正規から非正規へ移っている方も多いはずです。なお、年金の支給開始年齢が引き上げられていきますので、今後、60歳以上になる人の引退ペースは落ちるかもしれません。 5 65歳も引退過程でしょう。正規も、非正規も減っていますが、減った人数が多いのは、今度は非正規です。 (注)この年齢の女性の死亡率は低いので、人口はほとんど変わっていないはずです。 人気blogランキングでは「社会科学」の番外でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング