日経新聞の20日の朝刊一面トップにこんな記事が出ていました。
子育て期に働く女性が増えている。総務省の労働力調査によると、35~44歳の女性のうち就業者と求職者が占める割合は2013年1~11月の平均で12年より1.6ポイント上昇し、71.3%となった。子育てのため離職する人が多いこの年齢層で70%を超すのは初めて。景気回復で働き口が増えたうえ、保育所の増設などで子どもを持つ女性の働く環境が改善したためだ。働く女性が増えると、中長期的な経済成長率の底上げにつながる。
子育て「世代」の女性の
労働力率(
労働力人口には就業者のほかに求職者も含まれています)が上がっているのは事実でしょう。しかし、それが本当に中長期的な経済成長率の底上げにつながるのでしょうか?
上がっている理由として、記事では3つが挙げられています。
1 景気回復に伴う求人の増加
2 子育てと仕事を両立させる環境が整いつつあること
3
非正規社員の増加
まあ、これらも事実ではありましょう。
しかし、大きな要因を見逃しているような気がします。子育て世代の女性の中で子育てをする人が減っていることです。
女性が35歳から44歳までに何人の子を産んでいるかの粗い試算が
厚生労働省の人口動態統計の確報に載っています。
一人の女性が生んだ子供の数 | 1963年から67年生まれ | 1968年から72年生まれ | 1973年から1979年生まれ |
---|
15歳から34歳まで | 1.43 | 1.23 | 1.11 |
15歳から39歳まで | 1.59 | 1.43 | 1.39 |
15歳から44歳まで | 1.62 | 1.48 | - |
(
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei12/dl/14_tfr.pdf)
1968年から72年生まれの方は、2013年には41歳から45歳
1973年から77年生まれの方は、36歳から40歳なので、大体、記事の年齢とあっています。
この方々は前の世代に比べて子供を産んでいないのです。したがって、同じ世代の中で、出産や子育てをしている方の割合は低くなりますし、出産回数は減り、子育て期間も短くなっているはずです。子育て世代が子育て世代でなくなりつつあるのです。
当然、出産や子育てのために仕事をやめなければならない、仕事を探すことすらできないという状況に陥る方の割合も減ります。
労働力率は上がるでしょう。
少子化は長期的には、
労働力人口の減少につながります。なんで、中長期的な経済成長率の上昇につながるのでしょうか?
そして、
少子化と引き換えに手に入れたのは、人的資本の成長にはつながりにくい非正規労働にすぎません。これが、中長期的な経済成長率の上昇につながるとは思えません。
(データを見るなら、この世代で子供のいる女性の割合、子供のいる女性の
労働力率を見るべきでしょう。)
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