銀行の税金 19年度決算

銀行の税金 18年度決算 」に引き続き、全国銀行協会発表の19年度(単独)決算です(http://www.zenginkyo.or.jp/stats/year2_01/details/cont_2007_terminal.html)。 景気の悪い話です。 銀行の利益(億円)
経常利益純特別利益税引き前当期利益
15年度5,1264,7959,921
16年度19,0177,01826,034
17年度47,50411,78259,286
18年度43,1154,27747,393
19年度34,497△48834,009
経常利益が1兆円近く減り、純特別損失が発生し、税引前当期利益は1兆3千億円も減ってしまいました。2年度連続の減益です。 利益・税など(億円)
法人税など(A)調整額(B)当期純利益仮定(A)+(B)
15年度1,63616,083-7,79917,719
16年度1,88911,20312,94113,092
17年度3,00814,24042,03717,248
18年度4,9688,43933,98013,407
19年度5,4277,33521,24612,782
税引前当期利益が減りましたが、法人税・住民税・事業税の納付額は500億円ほど増えています。これは繰り延べ税金資産が減っていたためで、法人税等調整額が1千億円以上減ったからです。 その結果、税引き後当期利益は、600億円ほど減っています。仮に、法人税等調整額がなければ、1兆3千億円ほどの税収があったはずです。 銀行の資産(億円)
繰延税金資産資本割合
15年度289,611
16年度58,600314,35818.6%
17年度32,337373,0728.7
18年度24,786400,3486.2
19年度39,114348,33811.2
今回はこれまでとは違い繰延税金資産が、1ちょう4,000億円ほど増加しました。また、資産に占める繰り延べ税金資産の割合も、11.2%まで上がり、資産の質は劣化しています。 20年度は、税金は減るのではないでしょうか。逆戻りです。繰り延べ税金資産が増えたのに加えて、建設業、不動産業など不景気で倒産が増えていますし、利益も減りそうです。 18年度決算のときには「このペースが続けば2年半ほどで繰り延べ税金資産がなくなります。」と書いたのですが、完全にはずれでした。「実際には、不確定要素が大きく、見通しがつきません。」とも書いておいましたが・・・・。 「繰り延べ税金資産がなくなり、さらに、税法上の繰り越し損失がなくなれば、銀行の納税額は急増するはずです。それまで、景気を維持し、銀行の傷がなるべく早く癒えるのを待つのが得策でしょう。というより、それ以外に銀行に早く税金を払わせる方法がありません。」と期待をこめて書いたのですが、景気の維持に失敗したのが痛いです。財政再建は、景気の維持からスタートさせるべきでしょう。 人気blogランキングでは「社会科学」の36位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング