26年度の決算(単体)が発表されました。25年度を書き忘れてしまったので、二つの年度について説明します。
経常利益は、25年度に5兆円を超え、26年度も5兆円越えを達成しています。特別利益、損失を加減した後の税引き前当期利益は、25年度は5兆円を超えましたが、26年度は少し減って5兆円を割っています。
銀行の利益(億円) | 経常利益 | 純特別利益 | 税引き前当期利益 |
---|
15年度 | 5,126 | 4,795 | 9,921 |
16年度 | 19,017 | 7,018 | 26,034 |
17年度 | 47,504 | 11,782 | 59,286 |
18年度 | 43,115 | 4,277 | 47,393 |
19年度 | 34,497 | △488 | 34,009 |
20年度 | △16,096 | 3,119 | △12,977 |
21年度 | 24,457 | 1,057 | 25,514 |
22年度 | 32,611 | 542 | 33,153 |
23年度 | 38,173 | △1,126 | 37,047 |
24年度 | 39,833 | △458 | 39,375 |
>25年度 | 50,897 | △782 | 50,116 |
26年度 | 50,919 | △1,776 | 49、143 |
ところが、
法人税、住民税、事業税は、26年度は25年度を大きく上回っています。額では3千億円、率では30%弱の増加です。なぜ、こんなことが起こっているのかというと、
法人税等調整額が2千億円以上減ったからです。
法人税などと調整額を合わせた額は、25年度も26年度も1兆6千億円ほどで大きな変化はありません。調整額が減ったのは、取り崩すべき
繰り延べ税金資産が減っていたからです。
当期純利益は、24年度から3期連続して3兆円を超えています。
利益・税など(億円) | 法人税など(A) | 調整額(B) | 当期純利益 | 仮定(A)+(B) |
---|
15年度 | 1,636 | 16,083 | -7,799 | 17,719 |
16年度 | 1,889 | 11,203 | 12,941 | 13,092 |
17年度 | 3,008 | 14,240 | 42,037 | 17,248 |
18年度 | 4,968 | 8,439 | 33,980 | 13,407 |
19年度 | 5,427 | 7,335 | 21,246 | 12,782 |
20年度 | 3,415 | 3,564 | △19,956 | 6,975 |
21年度 | 3,648 | 3,750 | 18,116 | 7,398 |
22年度 | 3,697 | 4,371 | 25,084 | 8,068 |
23年度 | 5,231 | 7,003 | 24,812 | 12,234 |
24年度 | 7,475 | 1,587 | 30,311 | 9,062 |
25年度 | 9,485 | 6,685 | 33,944 | 16,170 |
26年度 | 12,134 | 4,261 | 32,747 | 16,395 |
25年度末には
繰り延べ税金資産は、4,910億円まで減っています。取り崩せる額が減っていたので26年度の調整額が減っていたのです。26年度末には1,476億円まで減っています。特に、
都市銀行ではゼロになりました。全国銀行全体では
自己資本に占める割合も0.3%と最低です。「
銀行の税金増加 24年度決算」で「フローで利益が減ってしまうと、ストックである
繰り延べ税金資産も減ってしまいます。ある意味で不安定な資産です。これがなくなっているというのは、大いに歓迎すべき状況です。
金融危機以来の長い長い財務改善の道のり、途中で
リーマンショックがあり、後戻りがありましたが、もようやく終わりに近づいたようです。」と書きましたが、本当に終わったようです。
銀行の資産(億円) | 繰延税金資産 | 資本 | 割合 |
---|
15年度 | - | 289,611 | - |
16年度 | 58,600 | 314,358 | 18.6% |
17年度 | 32,337 | 373,072 | 8.7% |
18年度 | 24,786 | 400,348 | 6.2% |
19年度 | 39,114 | 348,338 | 11.2% |
20年度 | 50,554 | 289,676 | 17.5% |
21年度 | 31,614 | 384,279 | 8.2% |
22年度 | 31,510 | 396,601 | 7.9% |
23年度 | 21,525 | 421,121 | 5.1% |
24年度 | 9,819 | 459,245 | 2.1% |
25年度 | 4,910 | 481,824 | 1.0% |
26年度 | 1,476 | 546,846 | 0.3% |
(注)ここでいう
繰り延べ税金資産は、
全国銀行協会が発表している「全国銀行総合財務諸表」の資産の部の
繰り延べ税金資産です。
気が早いようですが、
繰り延べ税金資産が減っていることを勘案すると、27年度決算でも銀行の
法人税額などはさらに増えるのではないかと思います。
国の27年度予算では、
法人税額は26年度決算より少し減ると予想されています。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/taxes_and_stamp_revenues/h201505.htm
これは少し慎重すぎるように思われます。過大に見積もるのが問題なのは誰にもわかりますが、過少に見積もるのもやはり問題です。経済運営に与える影響も大きいので、現実的な見通しが必要です。
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