毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2015年5月分確報)

毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2015年4月確報)」の続きです。 5月分の確報が発表になりました。 常用雇用は、全体では2.0%の増加です。15年に入ってから2%程度の伸びが続いてます。フルタイム労働者(一般労働者)の増加率は1.4%で、4月に引き続き高い伸びです。指数をみると、3月に比べて4月は2.3ポイントと大幅に増加し、4月から5月にかけては0.3ポイント(14年は0.2ポイント)増えただけです。4月に新規学卒者を大量に採用して、それが離職しないまま残っているということだろうと思います。そうであれば子の伸びは安定したものになる可能性が高いということになります。パートタイム労働者の増加率は3.5%です。 常用雇用の増加率(%)
全体フルタイムパートタイム
14年4月1.4 0.63.3
5月1.40.73.1
6月1.51.02.8
7月1.71.13.0
8月1.71.32.4
9月1.71.12.9
10月1.61.02.8
11月1.61.12.8
15年1月2.01.13.9
2月2.10.84.9
3月1.90.64.6
4月2.01.33.8
5月2.01.43.5
総実労働時間は、全体では2.7%減少しています。就業形態別にみると、フルタイム労働者は2.9%、。パートタイム労働者は1.8%の減少です。この理由はよくわかりません。フルタイム労働者の出勤日数が0.6日減っています。これは前年に比べて日曜日が1日多く、その分平日が減ったせいかもしれません。フルタイム労働者の所定外労働時間は1.1%短くなっています。3月、4月に引き続いての減少です。人手不足に対応して新規採用を増やし、労働者一人当りの負担が減ったのかもしれません。 総実労働時間の増加率(%)
全体フルタイムパートタイム
14年4月△0.7△0.2△0.4
5月△0.8△0.4△0.8
6月0.51.0△0.1
7月0.71.0△0.2
8月△1.6△1.5△1.9
9月0.50.8△0.2
10月0.51.2△1.4
11月△2.7△2.7△2.0
12月△1.1△0.7△1.7
15年1月0.00.4△1.0
2月△0.20.5△0.5
3月1.52.3△0.3
4月1.21.5△0.2
5月△2.7△2.9△1.8
常用雇用の増加率と総実労働時間の増加率を足して(近似値になります。)、労働投入を考えます。労働投入は0.7%減少しています。6月も日曜日が1日位多いのですが、果たしてどうなりますか。 総労働投入の増加率(%)
全体フルタイムパートタイム
14年4月0.70.42.9
5月0.60.32.3
6月2.02.02.7
7月2.42.12.8
8月0.1△0.20.5
9月2.21.92.7
10月2.12.21.4
11月△1.1△1.6△0.8
12月0.60.51.1
15年1月2.01.52.9
2月1.91.34.4
3月3.42.94.6
4月3.22.83.6
5月△0.7△1.51.7
これに対して名目平均賃金の動きです。現金給与総額は、常用労働者全体では0.7%増加と4月と同じです。フルタイムは、4月より大きな1.1%の増加です。これに対し、パートタイムは4月の0.6%から0.6%の減少に転じています。 名目賃金の増加率(%)
全体フルタイムパートタイム
14年4月0.71.20.9
5月0.61.00.8
6月1.01.50.7
7月2.43.01.0
8月0.91.30.6
9月0.71.10.5
10月0.20.60.2
11月0.10.7△1.1
12月1.31.8△0.4
15年1月0.60.90.3
2月0.10.60.8
3月0.00.60.6
4月0.70.91.3
5月0.71.1△0.6
パートタイム労働者の所定内給与も0.6%の減少となっています。パートタイム労働者の所定内労働時間は2.3%と大幅に減っていますので、1時間当たりに直すと4月の1.1%上昇を上回る1.7%の上昇です。パートタイム労働者の次官級の上昇は加速しているようです。労働市場の需給もタイト化していると思われます。 名目でみた雇用者所得はどうなっているか、試算してみると(やはり近似計算です。)全体では4月と同じ2.7%の増加です。フルタイム労働者は2.5%の増加、パートタイム労働者は2.9%の増加です。 雇用者所得の増加率(%)
全体フルタイムパートタイム
4月2.11.84.2
5月2.01.73.9
6月2.52.53.5
7月4.14.14.0
8月2.62.61.8
9月2.42.23.4
10月1.81.63.0
11月1.71.81.7
12月3.03.02.4
15年1月2.62.04.2
2月2.21.45.7
3月1.91.25.2
4月2.72.25.1
5月2.72.52.9
実質でみると、3月の0.8%の減少から4月は1.9%の増加に転じていましたが、5月も2.0%の増加です。 基本的には労働市場のタイト化を反映して、雇用が増加し、労働力の需給はタイト化してきています。特にパートタイム労働市場では賃金も上昇しています。賃金が比較的低い層が採用されることにより、平均賃金の上昇率は抑えられていますが、個々の労働者の賃金が抑制されているわけではなさそうです。勤労者全体の所得の増加を基礎とした消費の活発化が期待できます。省力化投資も動き出しているのかもしれません。 人気blogランキングでは「社会科学」の14位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング