ソローモデルでの定常状態:均斉成長

ソローモデルでの定常状態は次の表のように要約できます。 この前提を説明しておきます。 1 資本K(t)、労働L(t)、技術の変化を表すA(t)の初期状態、K(0)、L(0)、A(0)は所与だとします。 2 労働L(t),技術A(t)は、外生的に定められる一定の率、n、gで増加するとします。   これを数式で示すと、次の式になります。   L(t)=L(0)e^nt   A(t)=A(0)e^gt   eは自然対数の底です。X^アルファはXのアルファ乗を示す記号です。 3 生産関数は、次のような形とします。   Y(t)=F{K(t)、A(t)・L(t)} したがって、この生産関数での技術進歩は,労働節約型です。あるいは、ハロッド中立的な技術進歩です。この点についての、詳しい説明は、「技術進歩の中立性」をご覧下さい。
項目(変数)成長率
資本g+n
粗生産g+n
資本減耗g+n
純生産=消費g+n
一人当たり資本
一人当たり粗生産
一人当たり資本減耗
一人当たり純生産=消費
効率労働一人当たり資本
効率労働一人当たり粗生産
効率労働一人当たり資本減耗
効率労働一人当たり純生産=消費
少し説明を付け加えておきます。 1 経済全体で見れば、資本、粗生産、純生産=消費の増加率はすべて同じです。労働者一人当たりで見ても、経済全体で見た場合と大きさは違いますが、資本、粗生産、純生産=消費の成長率は同じです。  このように成長が等しい成長経路を、均斉成長経路(balanced growth pass)と呼ばれています。 2 効率労働一人当たりで見れば、成長はありません。 3 経済の貯蓄率は、この成長率に影響を与えません。 なお、当然ではありますが、労働の成長もなく(g=0)、技術の進歩もなければ(n=0)、経済成長率は0です。 人気blogランキングでは「社会科学」の25位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング