技術進歩の中立性

生産関数Y(t)=F{K(t)、L(t)}を考えます。

ここで、Yは産出、Kは資本、Lは労働投入です。tは時点を表します。

このままですと時間が経って、資本が増えたり、労働が増えたりすれば産出は増えますが、資本や労働に変化がなければ、産出は増加しません。

技術進歩というものを抽象的に考えると、資本や労働の量が増えなくても、産出が増えることといえます。

この技術進歩を示すために時間とともに変化するA(t)という要素を考えます。

A(t)を足し算で考えることもできるのですが、一般的にはかけ算の要素として使います。上の生産関数ですと、三つの選択肢があります。

1 Fに掛ける。

技術進歩を明示的に取り込んだ生産関数はこうなります。

Y(t)=A(t)・F{K(t)、L(t)}

この場合、資本、労働投入が同じであれば、産出はA(t)の増加に比例して増加していきます。

このような形の技術進歩をヒックス中立的な技術進歩と呼びます。

2 L(t)に掛ける。

技術進歩を明示的に取り込んだ生産関数はこうなります。

Y(t)=F{K(t)、A(t)・L(t)}

この場合、A(t)の増加に連れて、労働投入が同じであっても、労働が増えたのと同じように産出は増加していきます。別な表現をすると、生産に必要な労働投入を節約していくことができます。労働節約型の技術進歩です。

このような形の技術進歩をハロッド中立的な技術進歩と呼びます。

なお、このA(t)・L(t)を効率労働(effective labour)と呼びます。

3 K(t)に掛ける。

技術進歩を明示的に取り込んだ生産関数はこうなります。

Y(t)=F{A(t)・K(t)、L(t)}

この場合、A(t)の増加に連れて、資本が同じであっても、資本が増えたのと同じように産出は増加していきます。別な表現をすると、生産に必要な資本を節約していくことができます。資本節約型の技術進歩です。

これには特に名前が付けられていません。

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