ハローワークの市場化テストとインセンティブスキーム その2

ハローワークの市場化テストとインセンティブスキーム」で取り上げた長期失業者の就職支援のインセンティブスキームについて、つらつら考えいたところ、どうも気になることがでてきました。

このインセンティブスキームは、努力すれば成果がなくても支払われる報酬と就職という成果を上げたときに支払われる報酬からなっています。

この事業は競争入札をしているようです。落札できるのは1社だけ。

すると、こういう戦略を採るところがでてくる可能性があります。まず、入札の時には、就職支援の部分には自社の最低限度のサービスに要する費用+アルファの価格を付け、成功報酬の所だけ極めて低い価格を提示します。総合的に見て安くなりますから、落札できる可能性があります。

落札した後はこうします。就職支援には、就職者の能力などを見ながら、利益がでるような支援を行います。職業紹介は殆ど行わず、本人の努力、あるいはハローワークに任せます。

こうすると、成功報酬部分は手に入りませんが、努力部分は確実に手にすることができます。

こういう戦略を本当にとっていたかどうかは分かりません。.

この委託の結果を、厚生労働省が発表しています(http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/03/dl/tp0302-2a.pdf)。

最後の頁を見ると、支援を受けたもののうち、民間事業者による紹介で就職した方の割合があります。最高28%です。これに対して最低は1.6%。あまりに差が大きい気がします。

事業者により得手不得手、つまり能力の差があるのかもしれませんが、戦略の差という可能性もあります。

事業者に紹介を期待するなら、(あくまでこう期待するならです。)その努力を引き出すインセンティブスキームが必要です。あるいは、意欲のない事業者を排除する仕組みが必要です。

例えば、紹介就職にミニマムの水準を設定し、それを達成しなければ、ペナルティーを課すなどの方法があり得ると思います。

人気blogランキングでは「社会科学」の27位でした。今日も↓クリックをお願いします。

人気blogランキング