ハローワーク その6 クリームスキミング

ハローワーク その5」から、間が空いてしまいましたが、また続けていきます。 「利益を追及する民間事業者は、国から支払われる手数料が同じであれば、職業仲介の容易な求職者を優先し、手間のかかる就職困難者を後回しにする行動(クリームスキミング)の可能性があるという」主張があります。 これに対して就職困難者の「紹介に重点を置かせるような報酬体系を設定すれば民間でも対応可能」であるという反論ができるという主張があります。 これは反論になっているのでしょうか?つまり、このような報酬体系を作ればクリームスキミングはなくなるのでしょうか? 問題を明確にしてみましょう。 まず、国と民間企業の間の契約ですが、どのようなカテゴリーの求職者を就職させれば、国がいくら支払うということを決めておくことが必要です。この場合、ある特定の求職者がどのカテゴリーに属するのかは、当事者に分からなければならないのは当然として、第三者にも分かる形で決めておかなければなりません。国と民間企業の間で、ある求職者がどのカテゴリーに属するかについて争いが起こったときに、裁判所などで判定をしなければならないからです。したがって、このカテゴリーは外形的に定められることになるでしょう。たとえば、65歳以上、障害者、高校中退者などが就職困難なカテゴリーとして考えられます。 実際に契約を結ぶ際に、就職が容易であると考えられるグループから難しいと考えられるグループごとに価格を設定することになるでしょう。おそらくは成功報酬という形で。このようなグループの数の上限には制限があるでしょう。多くて二千、三千といった数でしょう。これだけきめ細かい価格設定ができないのであれば、もっと数が減ることになります。これ自体大きな問題ですが、今回はクリームスキミングの問題に絞って考えますので、次回以降に考えます。 さて、グループの数に限りがある以上、1つのグループには複数の求職者が含まれます。同じグループに属しているからと言って、同じように就職が困難であるとは言えません。人間は規格品ではないのですから。 さて、あるグループに10人がいて、その困難度は1,2,3,4,5,6,7,8,9,10であるとします。これは就職させるためにかかる経費の額であると考えることにしましょう。民間事業者は、求職者と接触し、紹介を行っていく過程で困難度を把握していくとします。 今、このグループに属する求職者が就職できた場合に支払われる報酬を6とします。利益を追求する民間事業者がやるべきことは、1から6までの求職者にはサービスを提供し、7から10までの求職者にはサービスの提供をやめることです。これは、まさにクリームスキミングです。 あるカテゴリーの求職者に、就職困難度の差があり、しかもカテゴリーが同じなら報酬が一定であればクリームスキミングは発生します。 反論にはなっていません。 人気blogランキングでは「社会科学」の17位でした。 今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング