「
6月の貿易収支黒字は再び縮小に転じました」の続きです。
7月(速報)の貿易黒字はほぼ前年並となりました。輸出が14.2%増加し、輸入は16.8%増加しました。
7月までの累計額を見ると、貿易収支の黒字(バランス)は、昨年と比べると20%ほど減っています。減少額は、1兆円を超えています。
貿易収支バランス(百万円、%)年 | バランス | 増加額 | 増加率 | 2000年 | 10,715,775 | - | - |
2001年 | 6,563,711 | -4,152,064 | -38.7 |
2002年 | 9,881,450 | 3,317,739 | +50.5 |
2003年 | 10,186,327 | 304,877 | +3.1 |
2004年 | 11,953,343 | 1,767,016 | +17.3 |
2005年 | 8,707、152 | -3,246,191 | -27.1 |
2005年7月まで | 5,335,391 | - | - |
2006年7月まで | 4,257,339 | -1,078,052 | -20.2 |
注 輸出は、FOB価格、輸入はCIF価格です。輸出入には国境の間を輸送しなければなりません。このため、運賃がかかります。また、運送の際の事故に備えた保険料もかかります。FOB価格には、このような運賃、保険料、輸入関税を含みません。従って、輸出品を日本の港(又は空港)まで運んで引き渡したときの価格です。一方、輸入に使うCIF価格は、日本の港(又は空港まで)運ばれた輸入品の引き渡しを受けるときの価格です。運賃や保険料、輸入関税を含んでいます。輸入もFOB価格にすると、相手国の港(又は空港で)受け取るときの価格で計算することになります。国境間の運賃、保険料の分だけ安くなります。
この表で
国際収支統計では、輸出にも輸入にもFOB価格を使っています。従って貿易統計と
国際収支統計を比べると輸入額は貿易統計の方が多めに示され、貿易収支の黒字は少な目に示されています。
貿易統計を紹介している理由は二つあります。
まず、発表が早いことです。もう一つは、日本国内の雇用への影響ではこちらの方がいいと思われるからです。というのは、
海上交通などには、日本人があまり従事していないからです。
累計で見れば黒字は減っていますが、輸出は15.8%と高い伸びとなっています。
輸出(百万円、%)年 | 輸出額 | 増加額 | 増加率 | 2005年 | 65,656,544 | - | - |
2005年7月まで | 36,348,229 | - | - |
2006年7月まで | 42,098,083 | 5,749,854 | 15.8 |
輸入は22.0%増えています。
原油や原料中心です。
輸入(百万円、%)年 | 輸入額 | 増加額 | 増加率 | 2005年 | 56,949,392 | - | - |
2005年7月まで | 31,012,838 | - | - |
2006年7月まで | 37,840,744 | 6,827,906 | 22.0 |
原油、粗油の輸入(百万円、%)年 | 輸入額 | 増加額 | 増加率 | 2005年 | 8,823,323 | - | - |
2005年7月まで | 4,350,074 | - | - |
2006年7月まで | 6,603,592 | 2,253,518 | 51.8 |
原油、粗油の輸入額は、51.8%増加しています。量は2.9%しか増加していませんが、1リットルあたりの単価が31.1円から45.8円へ15.2円、47.2%高くなっています。
1月から7月までの輸入の増加の33%は、
原油、粗油の輸入の増加によるものです。
7月の特徴は、輸入の増加率が少し低くなり、貿易黒字がほとんど前年の7月と同じになっていることです。これが続くかどうか注目です。
今年の貿易黒字幅は今回の
景気循環の出発点だった2001年の6兆円台の水準に戻りそうです。一方、設備投資は堅調です。綱引きに勝つのはどちらでしょうか?
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