「
4月の貿易黒字(バランス)」の続きです。
5月の貿易統計です。
http://www.customs.go.jp/toukei/latest/200604c.pdf
5月は久しぶりに黒字幅が前年同月より拡大しました。輸出が18.9%増加し、輸入の増加率を上回りました。
5月までの累計額を見ると、貿易収支の黒字(バランス)は、昨年と比べると28%ほど減っています。減少額は、1兆円を超えています。減少の仕方は4月までに比べて小さくなりました。
貿易収支バランス(百万円、%)年 | バランス | 増加額 | 増加率 | 2000年 | 10,715,775 | - | - |
2001年 | 6,563,711 | -4,152,064 | -38.7 |
2002年 | 9,881,450 | 3,317,739 | +50.5 |
2003年 | 10,186,327 | 304,877 | +3.1 |
2004年 | 11,953,343 | 1,767,016 | +17.3 |
2005年 | 8,707、152 | -3,246,191 | -27.1 |
2005年5月まで | 3,615,111 | - | - |
2006年5月まで | 2,593,778 | -1,021,333 | -28.3 |
注 輸出は、FOB価格、輸入はCIF価格です。輸出入には国境の間を輸送しなければなりません。このため、運賃がかかります。また、運送の際の事故に備えた保険料もかかります。FOB価格には、このような運賃、保険料、輸入関税を含みません。従って、輸出品を日本の港(又は空港)まで運んで引き渡したときの価格です。一方、輸入に使うCIF価格は、日本の港(又は空港まで)運ばれた輸入品の引き渡しを受けるときの価格です。運賃や保険料、輸入関税を含んでいます。輸入もFOB価格にすると、相手国の港(又は空港で)受け取るときの価格で計算することになります。国境間の運賃、保険料の分だけ安くなります。
この表で
国際収支統計では、輸出にも輸入にもFOB価格を使っています。従って貿易統計と
国際収支統計を比べると輸入額は貿易統計の方が多めに示され、貿易収支の黒字は少な目に示されています。
貿易統計を紹介している理由は二つあります。
まず、発表が早いことです。もう一つは、日本国内の雇用への影響ではこちらの方がいいと思われるからです。というのは、
海上交通などには、日本人があまり従事していないからです。
累計で見れば黒字は減っていますが、輸出は16.5%と高い伸びとなっています。
輸出(百万円、%)年 | 輸出額 | 増加額 | 増加率 | 2005年 | 65,656,544 | - | - |
2005年5月まで | 25,333,264 | - | - |
2006年5月まで | 29,506,055 | 4,172,791 | 16.5 |
輸入は23.9%増えています。
原油や原料中心です。
輸入(百万円、%)年 | 輸入額 | 増加額 | 増加率 | 2005年 | 56,949,392 | - | - |
2005年5月まで | 21,718,154 | - | - |
2006年5月まで | 26,912,277 | 5,194,123 | 23.9 |
原油、粗油の輸入(百万円、%)年 | 輸入額 | 増加額 | 増加率 | 2005年 | 8,823,323 | - | - |
2005年5月まで | 2,926,689 | - | - |
2006年5月まで | 4,735,854 | 1,809,165 | 61.8 |
原油、粗油の輸入は、61.8%増加しています。量は6.4%しか増加していませんが、1リットルあたりの単価が29.3円から44.7円へ15.4円、52.6%高くなっています。
1月から4月までの輸入の増加の35%は、
原油、粗油の輸入の増加によるものです。
ただ、今後もこれが続くかどうかが問題です。
原油・粗油の価格は昨年6月から8月までは30円台、その後は40円台前半です。5月の単価は47.4円ですから、今の価格が続けば、価格上昇率はかなり低くなります。うまくいけば、今後の
原油・粗油の輸入は増えるものの増加率は低下します。
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