「末っ子の影響力」について

この記事は、「末っ子の影響力」に、シーラカンスさんからいただいたコメントへのお返事です。

ウーン・・・。お答えするのが難しいですね。

幾つか論点がありまして、かなり複雑なので、順番に整理して行きたいと思います。

その前に、明らかにしておきたいのですが、私は、子供を産んだ女性が、労働市場で不利な立場にたつことが多いことを否定するつもりはありません。ただ、「世の中、右を向いても左を向いても真暗闇」でもないと思っています。もちろん、何の問題もない世の中だなどとは考えていません。そういうのは中途半端でいやだ、白黒はっきりさせろという空気が、今の日本にはあるようですが、私は、世の中、そう単純に割り切れるものではないし、割り切ってしまうと大切なものを見逃してしまうと思っています。

以下、コメントにお答えします。

まず、「一旦社員の職を手放して再就職しようとした場合、この図で見ると正社員の立場に戻れた人は」とありますが、末子の出産前に全員が、正社員であったとは限りません。学校を出た段階で正社員になれない若者がいることは、何度か書いてきました。また、結婚を契機に正社員を辞める方もいます。さらに、例えば、末子が二人目であれば一人目を生まれたときに、正社員を辞めているという場合も多いでしょう。さらに、全員が正社員として働きたいと希望されているのでもないでしょう。

さて、図6の中身ですが、0歳と15から17歳とを比較すると「仕事あり」は47ポイント増加しています。この増加した47ポイントの内訳を見ると、

正規の職員・従業員 + 6ポイント

パート・アルバイト +28ポイント

その他の雇用者   + 4ポイント

自営業主等     + 7ポイント

その他       + 2ポイント

となっています。パート・アルバイトが多いのは事実ですが、他の仕事を全部あわせると19ポイントあります。ざっと見れば、3対2でしょうか。私が、「後はパートしかないとは言いにくい」と書いたのはこういうことを指していたのです。「十分、正社員の口がある」と言うつもりではありませんでした。今は、このこともはっきり書いておけば良かったなと反省しています。

ただ、「正規の職員・従業員にはなりにくい」のは事実ですが、「不可能である」とか「なれる人はいない。」というのは事実ではありません。

「多分この場合の1は相当上澄み層の1であることが考えられ」とのコメントですが、「上澄み層」という微妙なニュアンスで表現されているのはどんなグループなのか、そのイメージか良く分からないのです。正社員になっている層が、どんなタイプの方なのか、調べてみたいですね。それが分かると、今後どうすればいいのか分かって来るかもしれません。パート・アルバイトのグループと正規の職員のグループの比較をしてくれると良いのですが。案外、本人の能力や資質の問題ではなく、末子が小学生になったときに、おばあちゃん、特に自分の母親が同居しているか、近くに住んでいるといったことが利いているような気もしますが、本当はどうなのか分かりません。(もっとも、本人の能力や資質以外のところで決まってしまうこと自体を問題と考えられるか方がいらっしゃるかもしれませんね。私は、商品ではない人間と不可分な労働というものが取り引きされる以上、こういうことは不可避だと思っていますが。それが正義かど問われれば何とも言えません。)

「残りの6のほうから見ると『求人は殆どがパートばっかし』ということになるのではないですか?」と言われれば、それはそうでしょう。(もっとも残りの6の皆さんの中にも、パートを望んでいる方も相当いらっしゃると思いますけれど。)ただ、この論法、少しずれてないでしょうか?

A 「日本には関西弁を話す人はいない。」

B 「いや、日本に住んでいるものの7分の1ぐらいは、主に関西に住んでいるグループだが、関西弁を話す。」

A 「そういう特殊な地域に住んでいるひとを除いた7分の6を見れば、殆ど関西弁を話さないものばっかしじゃないか。」

(注)誤解のないように。私は、決して関西弁を嫌いではありません。「「クールビズ」の大阪」をお読み下さい。

多分、シーラカンスさんは、特に恵まれた「相当上澄み」以外の普通の人にとっては、ということがおっしゃりたいのだと思いますが、それが正しいかどうかは、5%の方が本当に「相当上澄み」なのかどうか次第だと思うのです。

偏らないように気をつけてはいるのですが、昨日は、ちょっと、明確さが足りなかったようです。反省。

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