消費者物価上昇

1月の消費者物価が前年同月比0.5%上昇しました。

http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.htm

この原因と効果を考えてみます。

まず、原因から。

表3の寄与度から明らかなように、物価を押し上げたのは、水道光熱が0.25%、交通通信が0.17%で、この二つで0.42%です。

ちょっと寄与度というものを説明します。

表3を見ていただくと分かるように、全体の上昇率0.5%は、食料、住居などの項目の上昇の結果です。各々の項目の上昇が物価全体をどれだけ上昇させたかというのが寄与度です。各項目の寄与度を合計すると0.5%になります。

細かく品目を見ると、灯油とガソリンのな上がりが大きな要因になっているようです。

さらに遡って、原因を考えてみると「原油高 その1」

http://takamasa.at.webry.info/200509/article_9.html

でデータをお見せしたように、原油、石油製品の値上がりが、あります。ようやく消費者物価に波及してきたと言うことでしょう。

日本の原油の輸入はそれほど増えていませんので、原油高が日本での需要増加の結果であるとは言えません。

つまり、1月の消費者物価の上昇はもっぱらコストプッシュによるものだと言うことです。

次に、効果です。このような物価の上昇は、消費支出を刺激するでしょうか。

普通に考えると、消費者物価が上昇して、上昇率が預金金利を上回ると、貯金して置くよりも商品を早めに買っておいて保存し、将来それを使う方が得です。

消費者物価の上昇率0.5%は1年ものの定期預金の利率(調べる気にもなりません。)を上回っています。では、今回、普通の予測のとおり、支出を増やせるか、増やすかと考えると無理な気がします。

灯油やガソリンを買いだめしておくことが普通の家庭でできるでしょうか。

雪国なら灯油を大型タンクで貯蔵していますから、タンクを一杯にすることは可能です。しかし、それにしても大型タンクを新たに作るところまでは行かないでしょうから、買いだめできるのは限界があります。一般家庭なら、灯油はポリタンクで保存しているのが普通です。買いだめには限界があります。

ガソリンも同じで、それほどたくさん買いだめするわけにはいかないでしょう。ポリタンクにガソリンをいれて家の中で貯蔵するのはおすすめできません。危険です。

買いだめよりも、むしろ、ドライブに行くのを控えるなど高くなった灯油やガソリンを買わないですむように節約するのが普通ではないでしょうか。

参考1の表を見ると買いだめできない生鮮食料品とサービスの寄与度を合わせると0.1%あるようです。これらも買いだめしておくのは不可能です。

結論です。

今回の物価上昇は、需要増加によって生じたものでもはありません。

今後、消費の拡大につながる効果は、ゼロではないにしても、きわめて限定されたものに留まるでしょう。

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