hamachanさんのコメントに対するお返事 その3

hamachanさんのコメントに対するお返事 その2」では、hamachanさん(実はhamachanさんの本名、お仕事が分かるのでhamachanこと○○さんとしたいのですが、許可を得ていないので、こういう表現で。)との一致点を書きました。

今回は不一致点と言うことです。

私の問題意識は、「hamachanさんのコメントに対するお返事 その2」で書いた、有期契約を反復継続する場合の雇い止め問題を回避するために、「一定時期のみ解雇できるオプション付きの無期契約」を労使で作ってはどうかというものでした。

詳しい内容、といっても単純なものですが、とこれに対するhamachanさんのご批判は

hamachanさんのコメントに対するお返事」をお読み下さい。

このような契約も有効であるというお墨付きを専門家であるhamachanさんからいただきましたのでほっとしています。

問題は、hamachanさんご指摘のように企業側がこのような契約を結ぼうとするかどうかです。hamachanさんが予想される通り企業が乗らなければそれまでです。

そして乗るか乗らないかは、解雇権を行使したときに、裁判所が契約があったことを理由として解雇を有効と認めるかどうかにかかっていると思います。ある程度有効という判決が出ると予測がつくなら(解雇の際に支払うオプション行使料がある一定水準であることという条件が付いても構わないと思います。)ある程度の割合の企業にも十分受け入れられる契約類型であると思います。すべての企業とは言いません。

私がこのような提案をする根底には次のような思いがあります。現行法制の下で解雇について労使が話し合って自ら知恵を絞って解決策を考え、世間相場、あるいは妥当な線というものを作る努力をすべです。最初から何でも法律や裁判所に頼るというのは、契約自由の原則の下で自由に活動すべき労使の怠慢でしょう。みんなで知恵を絞って事前に紛争を回避する方法を探る中で、労働市場の秩序を作りあげるべきです。その方が妥当な秩序を作れると思うのです。

この意味では、私の提案に解雇できる場合を決めておくとか、その理由に応じてオプション料を変えるといった工夫もあっていい、むしろ考え出してもらいたいと思います。

なお、裁判上の手続き的な問題、挙証責任をどちらが負うかなどについては、未だ、アイディアがありません。

さて、hamachanさんのご提案ですが、私のものより射程範囲が広いようです。つまり、有期契約の反復のみならず無期契約の解雇までを視野に納めているようです。ご提案が二つあり、両者の関係がよく分からないのですが、こうです。(hamachanさん、私の理解、要約の仕方が間違っていたら訂正してください。)

第1のご提案

 解雇が一般的に可能であるという現在の法制を改め、正当な理由があるときに限り解雇できるようにする。これにより解雇権を行使できる範囲を明確にし、予測可能性を高める。

第2のご提案

 有期であろうが無期であろうがすべて勤続年数に比例した補償金で解決する。

第一のご提案については、これも解決策でしょう。何を正当な解雇の理由とするか、それをどこまで具体的に法律に書けるかというのが、最大の難関だと思います。

第二のご提案については、判断保留です。補償金を誰が決めるのかよく分かりません。

多分、この問題には、万能の解決策はないのではという気がします。

お読みいただいている方の参考のために。

厚生労働省の「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」が、将来の立法を念頭に置いて、ここで取り上げた問題も含め幅広い問題を検討し、2005年9月15日に報告書を出しています。こちらで、報告書をご覧になれます。

単なる感想ですが、hamachanさんの「現行法がうまく対処しきれない紛争があれば、法律を変えよう」という発想は、行政内部も含めた立法過程に通じられている法律の専門家としては自然なのかもしれません。

人気blogランキングでは「社会科学」の20位でした。クリックしていただいた方、本当にありがとうございました。今日も↓是非クリックをお願いします。

人気blogランキング