hamachanさんのコメントに対するお返事 その2
「hamachanさんのコメントに対するお返事」に対して、再びhamachanさんから丁寧なコメントをいただきました。
雇用保護を巡る議論なのですが、いくつかの一致点と一致しない点があります。
まず、第一の一致点です。
「本田先生への回答」のコメント欄で議論されているような「法的な雇用保護に関する正規労働者と非正規労働者の格差」は、正確には「無期契約の労働者と有期契約を反復している労働者の格差」であることです。
もちろん、無期契約の正規労働者同士でも、大企業の正規労働者と中小企業の労働者では、実態として、裁判に訴えうるだけの資力を持つかどうか、相手に雇用を継続する能力があるかどうか、そもそも、裁判に訴えてまで守らなければならない雇用であるのかどうか、といった面で差があります。
そのため「のびたさん」が、「正規労働者・非正規労働者-慣習・解雇」で指摘されているように「正規労働者でも、中小企業の労働者の場合、・・・・その(解雇規制の)実効性を担保するのが難しい」という問題があります。
まして、無期契約の非正規労働者の場合は、さらに実効性の確保に問題があるのが普通でしょう。
その対応策として、解雇の問題を行政の関与という形で解決するという方法が考えられます。
しかし、これはあくまで実態の話で、法制度の話とは別問題です。
第二の一致点は、これです。
「解雇と有期法制について」でhamachanさんが書かれているように「例外的な伝家の宝刀である権利乱用法理をごく一般的な事態に適用される原則的な法理として活用してきてしまったという、法律論としての転倒」があることです。
なお、誰が活用したかというと、私の意見では、裁判所、立法機関である国会、労働行政、使用者、労働者、労働組合などでしょう。この点はhamachanさんと意見が違うかもしれません。
第三の一致点は、有期契約を反復継続してある程度の期間雇用を継続した労働者の雇い止めに、この法理が適用されるとしても、あまりにも一般的すぎて裁判になったときどのような判決が出るか予想がつきにくいということです。これ自体大きな問題です。
なお、このため、労務屋@保守親父さんが「労働契約法制制定へ」で書かれているように「3年から5年したら、お互いにこのまま続けたいのに泣く泣く(有期契約の反復を)うち切るという状態」があります。これも、弊害でしょう。これは、多分hamachanさんも同じ意見をお持ちだと思います。
第四の一致点は、権利のあるところに権利の乱用があります。従って、裁判になれば権利乱用法理適用の可能性は常にあるということです。どのような立法を行おうが、どのような契約を結ぼうがこの点に変わりはないので、解雇に関して権利乱用を理由に裁判に訴える権利、従って訴えられる可能性は常にあるということです。
次回は、不一致点について考えるつもりです。
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