銀行の税金 その2

あけまして、おめでとうございます。今年ががいい年でありますように。

銀行の税金 その1」で、銀行の税金の仕組みを説明しました。今回は、そして、ようやく話が元に戻ります。

前回説明した税金回数券が使われたり、有効期限が切れたりして未使用の回数券が減ってきています。全国の銀行が持っている「繰り延べ税金資産」は17年度の最初には6兆円ほどあったのが、9月末には4兆5千億円になっています。((参考5)をご覧ください。)半年で1兆5千億円減ったのです。

ついでですが、前払いを受けているため本来17年度上半期に入るはずの税金が減っています。税引き前の利益が、2兆9,000億円だったので、本来はいる税収は7,900億円でした。これが前払いがあったため6,200億円強減って、実際に入ったのは僅か、1,600億円です。

今後、全国の銀行がこのような水準の利益を上げると、残る4兆5千億円の「繰り延べ税金資産」は1年半でなくなることになります。18年度末(19年3月末)にはゼロになるのです。19年度は繰り延べ税金資産、未使用の税金回数券はなくなった状態でスタートします。すると、銀行経営の実態が変わらなくとも19年度の税収は6,200億円×2≒1兆2,000億円増えます。

こうなって、初めて、バブル崩壊後の異常な財政から抜け出せるのです。

実際には、銀行により17年度、あるいは18年度の途中で未使用の回数券を使い切り、新たに普通の切符を買うところが、普通に税金を払うところが出てくるでしょう。18年度の税収が増えると期待できるのです。これが、「18年度税収」で書いたように、政府が18年度に税収がかなり伸びると見込んでいる理由でしょう。19年度はさらに大きな期待を持てます。皮算用かもしれませんが。

バブル崩壊後は、民間企業の収益の悪化→民間企業のバランスシートの悪化→銀行の収益悪化→銀行のバランスシートの悪化→銀行救済のための財政負担→国のバランスシートの悪化という順番で、連鎖がつづきました。

今度は、民間企業の収益の改善→民間企業のバランスシートの改善→銀行の収益改善→銀行のバランスシートの改善→税収の増加→財政のバランスシートの改善の順番で進むのです。

今、やらなければならないことは、この皮算用を実現することです。つまり、「民間企業の収益の改善」を阻害せず、好循環が始まるのを確実なものにすることです。じっくりとした対応が必要でしょう。

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