銀行の税金 18年度決算

「銀行の税金 その4」で、17年度決算の状況を書きましたが、1年が経ち、全国銀行協会から18年度の(単独)決算が発表されました(http://www.zenginkyo.or.jp/stat/kessan/index0511.html)。 銀行の利益(億円)
経常利益純特別利益税引き前当期利益
15年度5,1264,7959,921
16年度19,0177,01826,034
17年度47,50411,78259,286
18年度43,1154,27747,393
経常利益は4千億円ほど減っただけですが、純特別利益が8千億円ほど減りました。この結果、税引前当期利益は1兆2千億円も減ってしまいました。 利益・税など(億円)
法人税など(A)調整額(B)当期純利益仮定(A)+(B)
15年度1,63616,083-7,79917,719
16年度1,88911,20312,94113,092
17年度3,00814,24042,03717,248
18年度4,9688,43933,98013,407
税引前当期利益が減りましたが、法人税・住民税・事業税の納付額は増えています。これは繰り延べ税金資産が減っているので、法人税等調整額が4千億円ほど減ったいるからです。 その結果、税引き後当期利益は、8千億円ほど減っています。仮に、法人税等調整額がなければ、1兆3千億円ほどの税収があったはずです。 銀行の資産(億円)
繰延税金資産資本割合
15年度289,611
16年度58,600314,35818.6%
17年度32,337373,0728.7
18年度24,786400,3486.2
では、繰延税金資産はどうなっているかというと、7,500億円ほど減りました。減り方が少ないのには特別の理由があります。りそな銀行は、17年度まで安定して利益を出せるとは考えられず、繰り延べ税金資産を1年分しか認められていませんでした。18年度には、将来の利益が安定して得られると考えられるようになり、5年分の計上が認められました。これで、2,800億円ほど積み増されています。これがなければ1兆円ほど減っていたはずです。 このペースが続けば2年半ほどで繰り延べ税金資産がなくなります。実際には、不確定要素が大きく、見通しがつきません。 それでも、税金は2,000億円ほど増えています。また、資産に占める繰り延べ税金資産の割合も、6.2%まで下がり、資産の質は向上しています。 繰り延べ税金資産がなくなり、さらに、税法上の繰り越し損失がなくなれば、銀行の納税額は急増するはずです。それまで、景気を維持し、銀行の傷がなるべく早く癒えるのを待つのが得策でしょう。というより、それ以外に銀行に早く税金を払わせる方法がありません。 人気blogランキングでは「社会科学」の31位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング