「
切実な求めと有効需要」について
で、
高齢者福祉関係の事業所と従業員が急増している話を書きました。
今度は、ケア マネージャー(介護支援専門員)の意識について調べた調査が発表されました。
その説明の前に、いくつか客観的なデータを。
まず、平成16年の「賃金構造基本統計調査(
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/data-rou4/data16/30401.xls)」から、労働条件を。※133行目にあります。
ケアマネージャーの労働条件項目 | 男女計 | 男性 | 女性 |
---|
年齢(歳) | 44.2 | 38.0 | 45.7 |
勤続年数(年) | 8.3 | 9.2 | 8.1 |
所定労働時間(月あたり時間) | 165 | 166 | 165 |
超過(所定外)労働時間(月あたり時間) | 7 | 8 | 6 |
現金給与総額(千円) | 272.8 | 289.1 | 268.8 |
所定内給与(千円) | 261.3 | 276.2 | 257.6 |
1年分の特別給与(千円) | 787.0 | 879.0 | 764.3 |
労働者数(人) | 35,350 | 6,990 | 28,360 |
ここで、所定外労働時間があまり長くないこと、女性の割合が高いこと、そして賃金が女性の方が低いことに注目してください。
では、ケア マネージャーになるのはどのような方か?資格を得るためには試験に合格しなければなりません。合格しても仕事につくとは限らないのですが、とりあえず合格者についてデータがあります。
介護福祉士会のHPから。
http://www.jaccw.or.jp/mezasu/keamane.html
トップが看護士、准看護士で40.5%。次が
介護福祉士で28.7%です。
女性が多いことは、容易に想像がつきます。看護士さんの場合、夜勤や休日の出勤など時間が不規則ですから、子供ができたりしたときのために、所定外労働の少ないケア マネージャーに転職するというコースを用意しておくのも分かります。
介護福祉士は現場の労働者ですから、そこからケア マネージャーというのは、これまたよく分かる話です。
さて、いよいよ「平成16年度介護サービス施設・事業所調査」の結果です。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service04/index.html
図14(p.23)をご覧下さい。
現在の仕事を選んだ理由です。
一位 「能力・個性・資格が生かせる」 49.8%
二位 「働きがいのある仕事だから」 49.0%
この両者にはほとんど差がないと言っていいでしょう。
三位 「通勤が便利」 35.4%
四位 「労働条件がいい」 18.1%
「労働条件」の中心は賃金と労働時間ですが、賃金の水準がそう高いようには思えません。時間の面が大きいのではないでしょうか?
これは、「現在の仕事への不満、悩み」を聞いた、表28からも分かります。
「労働時間が希望に合わない」が8.1%しかないのに、「給与等収入が低い」は36.6%もあります。ただ、同じ労働時間でも「有給休暇が取りにくい」は26.9%あります。「普段はいいけれど・・・」という面があるかもしれません。
気になることがあります。もっとも不満が高いのは「業務の負担や責任が重すぎる」であることです。53.7%ですから、半分以上のケア マネージャーがそう感じていることになります。考えるべきことでしょう。もう一つ、「自分の能力を伸ばすゆとりがない」が24.3%あるのも気になります。介護の質を確保するのにケア マネージャーの役割が大きいことを考えると問題です。
なお、利用者、事業所、介護を実際にする方とのコーディネートという仕事の性質から、精神的に疲れると言うこともあるようです。
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