利払費
日本は財政危機だといわれています。
税収では利払い以外の普通の支出を賄いきれていません。この部分は国債の発行で賄わなければなりません。利払いも国債発行で賄わなければなりませんから、国債の追加発行高は巨額です。
財務省のHPでも国民の理解を得るためにわかりやすい資料を作っています。http://www.mof.go.jp/tokusyu/sp.html
国債の発行額は34.3兆円です。
ついでに国債の残高は17年3月末で、546兆円ぐらいのようです。
わかりやすい資料なのですが、肝心の国債の利払費が載っていません実に不便です。
利払費が、なぜ肝心なのか?理由はこうです。
前置きとして、財政が健全な程度を松竹梅で表してみましょう。
「松」 利払費も利払費以外の普通の支出を全部税収でまかなえる。
例えば、利払費が10兆円、普通の支出が40兆円、税収が50兆円という場合です。
利払費10兆円+普通の支出40兆円=税収50兆円
国債を新たに発行する必要はありませんから、国債残高は増えません。
「竹」 利払費以外の普通の支出を全部税収でまかなえる。
利払い費の分だけ、国債残高は増えます。
例えば、利払費が10兆円、普通の支出が40兆円、税収が40兆円という場合です。
利払費10兆円+普通の支出40兆円-税収40兆円=新規国債発行高10兆円となります。
ついでにいうと、このような状態のことを財務省ではプライマリーバランスが均衡していると読 んでいるようです。そして、これを当面の目標にしているようでもあります。
「財務大臣になって予算を作ろう」という財務省のHPのゲームでも、これを採点の基準にしてい ます。
http://www.mof.go.jp/zaisei/game.html
「梅」 利払費以外の普通の支出も税収では賄えない。この赤字と利払費とは国債の発行で賄わな ければなりません。国債残高は増えるが、その伸び率は国内総生産(GDP)の伸び率と等し い。つまり、国債残高をGDPで割ると比率は一定を保ちます。
利払費が10兆円、普通の支出が40兆円、税収が35兆円という場合です。
国債残高は500兆円、GDPも500兆円とします。国債残高をGDPで割ると1です。
また、GDPの伸び率は3%であるとします。次の期には500兆円×1.03=515兆円になりま す。
利払費10兆円+普通の支出40兆円-税収35兆円=新規国債発行高15兆円となります。
つまり国債残高は500兆円+15兆円=515兆円に増えます。
でも、GDPも515兆円に増えているので。国債残高をGDPで割ると、依然として1を保ってい ます。
どの計算でも利払費が分からないと「松」、「竹」、「梅」の判断ができません。元利支払いのための「国債費」よりも「利払費」の方が肝心なのです。
ややこしい話だったでしょうか。次回、この問題を巡ってもう少し突っ込んでみたいと思います。
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