革命家系の国家指導者の儒教的に正しい死に方

金正日氏の死について次のような報道がなされています。

平壌=共同】朝鮮中央通信が19日正午すぎに速報で伝えた金正日総書記の死亡の知らせは次の通り。

 朝鮮労働党総書記で朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長、朝鮮人民軍最高司令官である偉大な領導者、金正日同志におかれては、2011年12月17日8時30分、現地指導の道を行くさなか、積み重なる精神、肉体的過労により列車で逝去された。

 金正日同志の逝去に関連し、17日、朝鮮労働党中央委員会と朝鮮労働党中央軍事委員会朝鮮民主主義人民共和国国防委員会最高人民会議常任委員会、内閣は、全党員、人民軍将兵、人民に告げると発表した。

これについて、労務屋さんが次のように書かれています。(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20111219)

「どうも死因は心筋梗塞らしいのですが、それにしても積み重なる精神、肉体的過労により虚血性心疾患で死亡というのはまさに過労死そのもの(いや首領様は労災保険法上=労基法上の労働者ではないでしょうが)の言われ方ですね。まあ朝鮮労働党ほかとしては偉大な首領様は人民のために生命まで投げ打って指導にあたられたという見解なのでしょうが、もう少し違う言い方はないものかと。

もちろん一国の元首ともなれば多忙なのは当然で、わが国でも故小渕元首相は脳血管障害で、故大平元首相は首領様と同じ心筋梗塞で在職中に逝去されており、まあ国家元首はご高齢であることも多いのでこうしたことの起きる確率も上がるのでしょう。逆にいえば激動の時代の国家リーダーはもっと若い人が望ましいということかもしれません。」

平家としては、これには異論があります。論語を引きます。

曾子曰、士不可以不弘毅、任重而道遠、

仁以為己任、不亦重乎、死而後已、不亦遠乎

曾子(そうし)曰く、士はもって弘毅ならざるべからず、任重くして道(みち)遠し、

仁もっておのれが任となす、また重からずや、死して後(のち)やむ、また遠からずや

曾子が言った。「士は見識が大、意志が強固でなければならない。なぜなら、その使命は重く、道は遠いからである。

仁の実現、これは重い使命ではないか。死ぬまで歩き続ける。これは遠い道ではないか。」

革命とは、天命が改まること、つまり新たな指導者に国家を指導せよとの天命が下ることです。そして、革命指導者の家系に有徳の後継者がいる限り指導者は世襲されることになります。これが、日本を除く東アジアの伝統的な統治の正統性を支える原理です。

この原理に従えば、士中の士である国家指導者たる者、「任重而道遠」、「死而後已」なので、重い責任を背負って、死ぬまで働かなければなりません。

このような死に方は、将に、革命指導者にふさわしい死に方と認識されているのではないでしょうか。だから、このような報道のされ方をしているのだと思います。

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